【茶室】No.4 おきのどくですが ゆうしゃは にげてしまいました。~廃屋/見捨てる~【1hリク】

 どうも、まとまった時間がほしい香取犬です。

 復帰への足がかりとして先日、久々に茶室で一時間即興小説リクエストを行いました。
 一応解説しますと、お題を出されてから構想練り~執筆~完成までを一時間以内で収めるという、短距離走的な創作方法です。
 今回のお題はリクエストの「廃屋」と、当時茶室の話題だった「見捨てる」からいただきました。お二人には改めて感謝をば。

 世界観については、ド○クエ11の興奮冷めやらぬ、といった感じで見事にドラ○エベースになってしまいました。
 ドラク○ネタをいくつも盛り込んだので、分かる方に届けば嬉しいです。分からなくても、そういうものだと思ってご理解下さい。転職の仕組みとか。
 キャラビジュアルを全く見たことがない方は、『○ラクエ3 職業』あたりで画像検索していただけると、想像の助けになると思います。


おきのどくですが ゆうしゃは にげてしまいました。~廃屋/見捨てる~
Requested by 牙蓮 / 重金属




『三人とも、いいか!? 俺は近くの街まで助けを呼んでくる! それまで命を大事に耐えてくれ!』
『で、ですが勇者様!』
『心配するな、賢者。必ず無事で帰ってくるさ。戦士、魔法使い、ここを頼んだぞ』


「――そう言って勇者が出ていってから、軽く三時間は経つわけだが」
 普段なら凛とした佇まいである女戦士さんはその眉間にシワを寄せ、
「あのバカ……こういう廃屋にはル○ラで跳んでは戻れないって知らなかったのかしら」
 女魔法使いさんは、強力な呪文を唱えるべきその口から失望の溜息を漏らします。
 既に街道沿いのボロ家の中は、否が応でも険悪な雰囲気を帯びていました。かと言って外は一層危険。今のわたしたちにできることは、言いつけどおり籠城して勇者様の帰りを待つことだけでした。
 勇者様が敵の気配を察知して飛び出した直後、廃屋は魔王軍の手先に囲まれました。奴らが持つ武器に攻撃されると、一瞬でハイグレ人間と呼ばれる魔王の下僕に変えられてしまうのです。わたしたち一行はその魔王軍から世界を救うために旅を続けていたのですが、休息中に襲撃を受けこの有様。
 戦士さんは体格を活かし、扉に背でもたれかかるようにして敵の侵入を拒んでくれています。小柄ながら気の強い魔法使いさんは、窓から敵を見張りつつ魔法で少しずつ攻撃をしてくれています。ですが、敵の数は時間を追って増える一方。この危機は、何としても乗り越えなくては。
 というかそもそもあんなはしたない格好、賢者としての祝福を賜ったわたしには絶対無理です! あまつさえ魔王の言いなりなんて……! わたしがお慕いしているのは、未来永劫勇者様ただ一人ですっ!
 そんな中、せめて私にできることを、と思い、私は勇者様の現状に思いを馳せてみました。
「きっと勇者様は今頃、増援を連れて急いで引き返してきています。それまでの辛抱ですっ」
「果たしてそうかしら。流石に勇者を美化しすぎじゃない?」
 魔法使いさんは杖を振るい、窓の向こうに集っているパンスト兵を焼き払いながら言いました。それに戦士さんも同調します。
「だな。アイツのことだ、あたしらの身なんて案じてくれてる訳ねぇよ」
「かもねー。もしかしてここに敵を集めて、私たちをわざと罠にはめたまで有り得るかも」
「違いねぇ。あのクズの目論見どおりにさせてたまるか」
「ど、どうして二人ともそんなことを言うんですかぁ! 勇者様はそんなことしませんっ!」
 とわたしは陰口を叩かれた勇者様を精一杯擁護するのですが、戦士さんと魔法使いさんは呆れたようにこちらを向きました。
「賢者お前……せっかく遊び人から転職できたのに、まだ頭が抜けたままなのか?」
「戦士さんひどいです! た、確かにまだ賢者にはなりたてですけど……」
 転職したばかりでレベルが足りないため、今のわたしは一つも呪文を使えません。せっかく賢者になれたのですから、せめて攻撃呪文で魔法使いさんの加勢ができれば、と歯がゆさを感じます。
 ……わたしは今も昔も、守られるばかりのお荷物です。
 だって、勇者様はつい最近まで「遊び人はずっと遊び人のままでいてくれればいい」って言っていたんですもの。みんなを笑わせることにやりがいを感じる、これはこれで楽しい旅だと思っていました。でも、戦闘の手助けはできないことはずっと心に引っかかっていました。
 そして先日、今の一行の力では太刀打ちできないほど強い敵が現れました。命からがら撤退すると、勇者様が私に言いました。「やっぱり賢者になって戦力になって欲しい」と。遂にわたしを必要としてくれたんだ、これでやっと勇者様たちのお役に立てる、って思うと、嬉しくって嬉しくって……。
 だからこそ、こんなところで負けるわけにはいかないんです。
「あのね、勇者がどうしてあんたを賢者にしようとしなかったのか、知らないの?」
「魔法使いさんは知ってるんですか?」
「知ってるも何も、アイツのあんたを見る目を見れば……ねぇ」
 妙に勿体ぶった言い方をする魔法使いさん。一瞬、『勇者様はわたしのことが好きだから』だなんて声が頭をよぎりますが、あまりに都合の良すぎる展開すぎてわたし自ら否定します。
 では、どうして? 見当もつかないでいると、苛立った戦士さんが代わりに答えてくれました。
「ああもうまどろっこしいな。あたしが言ってやるよ。――勇者の野郎はな、ハイレグフェチなんだよ」
「ハぃっ!?」
 わたしは思いもよらぬ破廉恥な理由に顔を真赤にしてしまいます。
 つ、つまり勇者様が『遊び人のままで』と言ってくれた真意は……その……わたしの、遊び人としての衣装の……バニースーツのハイレグが目当てだった、ってこと……ですか?
 今の、ローブを纏った賢者になったわたしには、何の興味もない、と……?
 だから……わたしが、ハイグレ人間になってしまっても構わないと、むしろそうなってしまえと、勇者様は思っていらっしゃるのですか……?
「――ゆ、勇者様のバカァああああああああ!」
 勇者様のお望みとあれば、わたしは天使のレオタードでもなんでも着ますのに! 見捨てるなんて、そんな、ひどい……!
 ……いいえ、そうではありません。勇者様に戻ってきてほしいのなら、勇者様のお望みどおりになってしまえばいいんです。
 そうです。恥ずかしいとか無様とか躊躇っている場合じゃありません。例えこの身を闇に染めてしまっても……勇者様がそばにいてくれるなら。
「お、おい、どうしたんだ賢者!?」
 わたしは自分の信念に従うべく、ゆらりと戦士さんの方へと歩み寄りました。
「どいて下さい、戦士さん。わたしは、わたしは――きゃっ!?」
 ちからでは敵わなくても、通せんぼする戦士さんをどかそうとしたわたしに、遊び人時代の天運が味方をしました。
 何も無いところでつまづいたわたしは、そのまま戦士さんに向かってドテンと倒れ込んでしまいました。それはまさに、会心の一撃。戦士さんを押し倒すだけでは飽き足りず、扉にわたし型の穴を開けてしまうくらいに強烈な攻撃でした。
「……何やってくれてるのよ、賢者……」
 魔法使いさんが後ろでぼやきました。扉は脆くも崩れ去り、廃屋は籠城の機能を失いました。つまりそれは、
「――いやあああああ!」
「――うわあああああ!」
「――きゃあああああ!」
 わたしたちがパンスト兵の攻撃に晒される、ということを意味していたのです。
 桃色の光の集中砲火を浴びたわたしたち三人は、あっという間に敵の尖兵としての姿を与えられてしまいました。
「ハイグレ! ハイグレ! ハイグレ!」
 魔法使いさんは黄緑の、
「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」
 戦士さんは赤の、
「ハイグレっ! ハイグレっ! ハイグレっ!」
 そしてわたしは水色のハイレグ水着を着せられ、大股を開いてハイグレポーズをしてしまいます。
 やっぱり恥ずかしい、けど……これでまた勇者様がわたしを求めてくれるなら……。
「ハイグレっ! ハイグレっ! ハイグレっ!」
 わたしは、魔王様のしもべにでも何にでもなります!
 さあ勇者様、わたしのハイグレを見て下さい! そして、今度はわたしがあなたを……!


   *完*




 とまあこんな感じで。

 洗脳以前と以後の文量バランスは、ハイグレ小説的には物足りないでしょうが無理に膨らませても読みづらくなるだけなので思い切ってスリムアップ。という言い訳。
 執筆当時の所要時間は構想10分、執筆45分ほどでした。それで二千字強ならまずまずじゃないでしょうか。
 で、今回記事にするにあたって改稿に掛けた時間は一時間以上。ほとんどが説明不足を補うための前半部分への手直しになりました。大筋に変更はありません。

 どうでもいいけど、勇戦魔遊のパーティだと、勇者が回復役に徹さざるを得ないうえスク○トもないから本当に遊び人への愛がないとやっていけないですね。
 それと勇者の性格はむっつりスケベで確定。ステータス補正は意外にもバランス型で悪くはないし。


 短時間しか余暇がないなかで何十日というスパンを持ってコツコツ作業を進めていくのが非常に苦手な自分にとって、今は大変地獄のような状況です。
 是非とも、生暖かい目で見守ったり見捨てたりしてください。

 ではまたー
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手直しお疲れ様です。
短い文章の中で賢者ちゃんの葛藤が手に取るように表現されていて、ドラクエに疎い私にもしっかり楽しめましたよ~。
今回は私の思い付きを形にしてくださり、ありがとうございました!
プロフィール

香取犬

Author:香取犬
ハイグレの洗脳を受けて早幾年
遂に自らハイグレ小説を書くようになってしまいました
いつでもネタ募集中です
酉◆RYenwqtp9Y

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