【茶室】No.2 超ハイグレVR ~VR~【10分リク番外編】

どうも、香取犬です
前回の予告通り、今回の作品もチャットでのリク募集にあったテーマを元に書いたものですが、執筆時間を限っての挑戦ではありません
というか実を言えば、出揃ったテーマの中で真っ先に書く候補から外したのがこのテーマでした。だってどんな展開にすればいいか、咄嗟には一切イメージ出来なかったんですもの
しかし即却下してしまったことが逆に気がかりで、脳内でテーマがグルグルしたまま過ごすこと一日――風呂の中ではたとネタを思いつきました(自分は風呂でインスピレーションが湧くことが多い人間です。ネタ神様が舞い降りてくると、途端に人には見せられない表情でフヒフヒゲヒゲヒと笑い出すとか出さないとか)

さて前回前置きが長かった分、今回はさっくり始めましょうか
正にタイムリー! 丁度、ハイグレ人間クリエイターでそのマルチな腕前を改めて見せつけてくださったROMの人さん提供のネタでございます!
クリエイター凄いですよね……ROMさんのエ□い絵で好みのハイグレ人間が創れちまうなんて夢のよう……! 今後のアップデートにも多大なる期待をしておりまする!
(なお、執筆が完結まで間に合わなかったため微妙なところで途切れております。ご了承ください)

*7/24 更新・完結しました!


超ハイグレVR ~VR~
Requested by ROMの人



目次
装着!
決着!
(7/24更新部分から読む)

あとがき
あとがき2
 




「イコイコ超会合に、行こ行こっ! ――ということで私、塚野内理保子が、明日から開催される注目イベント、イコイコ超会合に突撃リポートをしたいと思いまーす!」
 カメラの前でイベントの決めポーズであるランニングポーズをとるのは、今春入社したばかりの新人リポーター、塚野内理保子である。スーツを着こなし、さっぱりとしたルックスと大きなリアクションで、早くも人気は上り調子。
 そんな彼女が取材することになったのが、現代サブカルチャーと科学技術の祭典、イコイコ超会合だ。本開催は明日からだが、今日は取材陣用の限定公開日なのであった。
 建物内部に入るやいなや、青白い照明とサイバーな音楽が理保子とカメラを迎える。理保子はハイテンションのまま様々なブースを見学、体験していった。
 カメラを回すディレクターは、理保子のソツのないリポートに舌を巻く。彼女は新人とは思えないほどに、活き活きと楽しげに現場の様子を伝えてくれる。撮れ高は十分だ。しかしディレクターは、この機会に彼女をもう一皮剥かせたいと考えた。
 そうして理保子はディレクターの独断で、当初の予定にはなかったブースへと取材に赴いたのだった。
「こんにちは! えっと、こちらは何のブースなんでしょうか?」
 係員――ボディコンのような黄色いハラマキを着た三人組の中央に並ぶ、緑髪の女性――は、ややぶっきらぼうに対応する。
「ここは『超ハイグレVR』のブースよ」
「超ハイグレVR? あ、VRというとあの、ゴーグルをつけて体験する仮想現実――バーチャルリアリティのことですよね! 私、一度やってみたいなと思ってたんですよ!」
 目を輝かせる理保子に、緑髪の女性は少しだけ頬を緩めた。
「なら丁度いいわね。アナタもやっていきなさい」
「本当ですか! ありがとうございます! ……でも、先程の『ハイグレ』とは、一体何なのですか?」
「それは体験してのお楽しみよ。――さ、始めるわよ!」
「「ラジャー!」」
 理保子の疑問を尻目に、係の三人はVR体験の準備を進める。まず、紫髪の係員が理保子にスタイリッシュなデザインのフルフェイスヘルメットを手渡す。次に橙髪の係員の誘導に従って、広めの電話ボックスのような透明の箱の真ん中に立たされた。最後に緑髪の係員がヘッドセットを用い、箱内の理保子に指示をする。
「いい? 心の準備ができたらそのVRヘルメットを被りなさい。あとはなるようになるわ」
「わ、分かりました」
 期待に胸を高まらせながら、深呼吸をする理保子。数秒後には意を決して、ヘルメットをすっぽりと被った。
 VRヘルメットに映し出されている映像は、箱の外のディスプレイにも表示されている。ディレクターは、理保子の様子と彼女の見ている仮想世界を寸時も逃さずカメラに収め続ける……。

 聞こえてきたのは都会の人々の喧騒。しかし、嫌に緊迫した雰囲気だ。何だろうと思い目を開けると、理保子は大通りの真ん中で立ち尽くしていた。喧騒は、歩道からはみ出んばかりに慌てて走る人の波によるものだった。
 そして目の前には水色のセーラー服姿で、お団子頭の愛らしい少女がいた。
「良かった、気がついたのね」
「あなたは?」
 思わず素で尋ねた理保子に、少女は真剣な表情で答える。
「わたしは桜リリ子。アクション仮面のパートナーで……ってそんなことを話している余裕は無いわ。手短に説明するからよく聞いてね、お姉さん」
「え、ええ」
 理保子は拳を握り、ゴクリと唾を飲み込んで言葉を待った。
「今、この街はハイグレ魔王という宇宙人に襲われて危機的状況にあるの。ハイグレ魔王はパンスト兵を放って、ハイグレ銃で人々を次々にハイグレ人間にしているのよ。――ほら」
 リリ子に指し示された方へ、首を向ける。人の流れのやって来る方向の空中に、三体の奇妙な乗り物が浮かんでいた。それを操縦するのはパンストを深く被った赤い服の男たち。さながら、シェパードに追われる羊だ。リリ子がパンスト兵と呼んだ彼らは、肩に担いだバズーカのような銃を人の群れに向けて乱射した。
「た、助けてぇぇぇ! はいぐれ! はいぐれ! はいぐれ!」
「うわああああ! ハイグレ! ハイグレ! ハイグレ!」
「きゃああああ! ハイグレっ! ハイグレっ! ハイグレっ!」
 ピンクの禍々しい光線に撃ち抜かれた不幸な三人は、意外にも倒れるでもなく、色とりどりのハイレグ水着姿に変えられてコマネチ然とした動きをし始めた。パンスト兵の引き金は止まらず、老若男女を問わず次々に人間をハイグレ人間とやらに生まれ変わらせていく。
 理保子は眼前の光景に絶句した。これが仮想現実だと頭では理解しているが、あまりにもリアルな侵略風景だった。快い興奮とともに、紛れも無い緊張感も去来する。
「可哀想に……」リリ子が呟き、そして上目遣いで懇願してくる。「この先にはもっと沢山のパンスト兵と、元凶のハイグレ魔王がいるの。もし良かったら、わたしと一緒に戦ってくれないかしら」
「戦う?」
「そう、このアクションとりもちガンで撃つのよ」
 言って、リリ子は黄色い銃を理保子に手渡した。プラスチックのように軽く、しかし確かな感触が手の中に生まれる。そして少女はもう一つ取り出したとりもちガンで狙いを定め、パンスト兵を二連射した。投石機の石の如く放られたとりもちが二機のパンスト兵の顔面を捉え、彼らはコントロールを失って墜落した。
「お、お見事」
「ありがとう。でも、やっぱりこんな優しいお姉さんに、無理に戦ってとは言えないわ。お姉さんはみんなと一緒に逃げて。ここはわたしが食い止めるわ」
 リリ子は次のもち弾の装填をし始めるが、焦りのためか上手く行かない。だが、残ったパンスト兵の目がリリ子を捉えてしまった。
「――リリ子ちゃん危ないっ!」
 理保子が叫んだときには既に、リリ子へと真っ直ぐピンクの光が迸っていた。
「え……きゃああああああああっ!」
 そして光の中で無抵抗に大の字にさせられたリリ子は、数秒の後に解放された。人間としてのセーラー服も、侵略者と戦うためのとりもちガンも全て消され、水色のハイレグ一枚の姿となって。
「リリ子ちゃん……!」
「お姉、さん……ううっ!」
 リリ子は苦しげに呻く。襲い来る誘惑に抵抗しようとしているのだ。しかしハイグレ光線を浴びた人間は、やがて例外なく完全なハイグレ人間となる。もちろん、リリ子も。
「うあ、は、ハイグレっ! ハイグレっ! ハイグレっ!」
 ハイグレコールを繰り返しながら、リリ子は腰まで露わになったV字の足ぐりをなぞるように腕を動かす。その手はもう、武器を握れない。その口はもう、ハイグレとしか言わない。
 理保子の中に怒りと使命感が燃え上がる。受け取ったとりもちガンの柄を強く握り直し、仇のパンスト兵に銃口を定めた。
「このっ! 当たれっ!」
 パァン! と頬を叩いたような小気味よい音がビル街に響く。とりもちが白鳥の顔に張り付いた音だ。パンスト兵自身には当たらず「しまった」と思ったが、おまるはそれで推進力を失ったらしく、ふらついてからビルに突っ込んだ。
「や、やった……!」
 もくもくと立ち上る煙に、小さくガッツポーズをする。それから周囲を見渡した。先程より逃亡者の数が少し減っているが、代わりにハイグレ人間にされてハイグレポーズを取るのみとなった者の数は増えていた。しばしば、ビル街にこだまする「ハイグレ!」の声を割いて断末魔が上がる。その僅か数秒後には、鼓膜を打つハイグレコールは更に大きくなってしまうのだった。
 この道の先には更なる惨劇が待ち受けていることだろう。だが内に秘めたリポーター精神と、リリ子の遺志を継ぐという正義感が合わさって、理保子は人波の上流に進む覚悟を決めた。
「待っててね、リリ子ちゃん」
「ハイグレっ! ハイグレっ! ハイグレっ!」
 心なしか顔を上気させているリリ子を後ろ髪を引かれる思いでその場に残し、足を踏み出した。
 下品なポーズをさせられている人々を見下すようにそびえ立つ、サイケデリックな彩色の城の方へと。

 まるで夢遊病者だな、とファインダーを覗きながらディレクターは苦笑した。
 透明なプレイブースの外からVR体験中の理保子を眺めると、全身がふらふらと揺れていて今にも倒れてしまいそうに思えた。ディレクターは橙髪の係員を呼び寄せて小声で尋ねる。
「なあ、このVRってどういう仕組みなんだ? ああやって身体を動かす必要ってあるのか?」
「いえ。あちらのヘッドセットが体験者の方の脳波を読み取って、行動や台詞としてVR内に反映させますので、本来は身体や口を動かさなくても問題ありません。ですがVRに慣れていない方ですと、どうしても映像につられてあのように動いてしまわれますね」
「コントローラーでやるレースゲームで、コーナー曲がるときに身体が傾くみたいにか」
「その通りです。ですから今回は箱型のブースをご用意して、体験者様がお倒れになったり、どこかへ行ってしまわれないように配慮をしております」
 はぁ、とディレクターは嘆息する。
「すげぇ時代になったもんだな。まるで未来人か宇宙人の技術みたいだ」
 すると係員は目を細め、くすくす笑った。
「いえいえ。近い将来、皆様のお手元にも必ずお届けしますよ」
「もう発売間近ってことか。大したもんだ」
 ディレクターの視線は、ヘッドセット内の画面を投影したディスプレイに釘付けだった。彼にはハイグレ光線やハイグレポーズはただのギャグだとしか思えなかった。が、女性NPCの肉感たっぷりのハイレグ姿には、いち男性として釘付けにならざるを得なかった。
 こんなにリアルな3D映像のゲームが家庭に来るなんて、夢が広がるぜ――楽しい想像を巡らせる彼の視界の外で、係員の女性たちは嘲笑を浮かべていた。

 ヒュウ、ととりもちが宙に放物線を描き、パンスト兵に命中する。突如視界を奪われたパンスト兵はあからさまに焦り、やがて穴の空いた風船を思わせる挙動の末に墜落した。
「もう、どれだけいるのよ……っ」
 渋い顔で呟く理保子。彼女は慣れた手つきで次のもち弾を充填する。その瞬間、視界の端に妖しい光を感じた。反射的にサイドステップをすると、先程までいた地点にハイグレ光線が着弾していた。
「あそこね!」
 弾道からスナイパーの位置を割り出し、間髪入れずに引き金を引く。ビルの窓から彼女を狙撃し損ねたパンスト兵は、あえなくノックアウトとなった。
「ふう……」
 これで敵軍の第三波も殲滅完了。周囲でハイグレポーズをし続ける民間人に哀れみの視線を向けつつ、彼女は前へと走りだした。
 理保子が単身敵陣に切り込むことになってから、十分ほどが経過していた。初めのうちこそ敵は一人ずつでその動きも単純であったが、それは単なるチュートリアルに過ぎなかった。進撃するうちに敵は賢く編隊を組み、スナイパーを動員するなど熾烈な多段攻撃を仕掛けるようになってきていた。それでも理保子は生き延びた。シューティングの経験も無い彼女が未だに被弾せずに済んでいたのは、偏にVRのリアルすぎる没入感のためである。火事場の馬鹿力にも似た緊張感が理保子の生存本能を刺激し、無意識のうちに実力以上の力を発揮させていたのだった。
 静かな興奮が全身を包む。ドクドクと高鳴る心音も、スーツの下のじっとりとした汗ばみも、今の理保子には感知すらされていなかった。
 だが、それ以上の不快感が訪れれば話は別だ。
「ホッホッホッホ!」
 耳をつんざく中性的な高笑い。声の主は空から――ハイグレ城の股間からゆっくりと舞い降りてきた。直径一メートルの球体を水平に切ったような足場に乗るそいつは、不気味な仮面とマントをつけており性別すらも曖昧だ。
 理保子は足を止め、素早く銃を構えた。これまでのパンスト兵とは見た目も雰囲気も全く異なる。であれば自ずとその正体も想像がつく。奴こそリリ子が言っていた宇宙人のボス、ハイグレ魔王であろう、と。
「あれだけのパンスト兵が全滅なんて……よくぞここまで辿り着いたわネ。褒めてあげるワ♪」
「……!」
 癇に障る言葉を極力思考の隅に追いやって、理保子は照準を覗き込むことに集中する。まだ彼我の距離は射程圏外であった。このまま敵が降下してきて射程に入った瞬間、すぐにでもとりもちを発射してやる――そう強く心に決めていた。何せ奴は、リリ子や皆をあられもない姿にした元凶なのだから。
 敵もそんな理保子の思考などお構いなしに口を開き、降りてくる。
「アナタに教えてあげるわ。アタシの名前はハイグレ魔王! この地球の支配者! そしてモチロンこれからは――」
 もう少しで射程範囲だ。あと五秒、四、三……。
 しかし。理保子の指先に、動けと命令が伝わるよりも一秒早く。
「アナタの支配者よォん。以後ヨロシク♪」
 ピッ、と。
 ハイグレ魔王が掲げた右手の小指から、細い光が一直線に迸った。それは正に光速で、寸分違わず理保子の胸を貫いた。
「え……?」
 恐る恐る胸元に視線を落す。煌々と輝くピンクの小さな光は直後、瞬く間に理保子の全身に広がっていった。
「きゃあああああああああああああああ!」
 目の前がピンクと水色に点滅する。同時に、両耳から腕を突っ込まれて直接脳味噌をこねくり回されるかのような、おぞましい感覚が襲ってきた。痛みや気持ち悪さは無い。むしろ快感にも似たむず痒さが全身の神経に広がりつつあった。
 理保子の思考は光の中で様々に移り変わっていた。初めは、射程外からの不意打ちという理不尽に対する怒り。次に、自分がリリ子たちと同じハイグレ人間にされてしまうのだという理論上の理解。それから、このままでは自分が自分ではなくなってしまうという、理屈ではなくもっと質量を伴った直感。
 つまりは、このように。
「は……ハイグレっ!」
 光から解放された理保子は、開口一番震える声でそう言った。当然足はがに股で、腕はコマネチポーズをしながらだ。彼女のまとっていたスーツは今、純白のハイレグ水着へと姿を変えていた。
 理保子は戸惑った。意志に反して独りでに動いた身体には今現在、本当に洋服の衣擦れの感覚がないのだ。敗北を喫したことでシューティングヒーローの陶酔感を失い、素の自分に戻りつつある今だからこそ不思議に思えた。自分はリポートの仕事の最中で、もちろんフォーマルなスーツを着ていたはずなのだと。だが、今理保子の胴体をピチリと締め付ける水着の着心地が虚構だとは、全くもって信じられなかった。
 負けたんだからもういいでしょ、ゲームは終わりよ。理保子はリポーターとして好意的な感想を考えつつ、現実で頭を覆っているはずのヘッドセットに手を伸ばそうとして――
「ハイグレっ! ハイグレっ!」
 叶わなかった。手は上方ではなく真下に伸縮し、マヌケなポーズを再び否応なくとらせる。その上助けを求めようにも、口も「ハイグレ」以外の単語を発してはくれなかった。
 自らの意志では一切のアクションも起こせず、身体の感覚はハイレグを着たゲーム内の自分のもののみ。理保子の全感覚は現実世界から完全に隔離され、このゲーム内世界に取り残されていたのだった。
「ハイグレっ! ハイグレっ! ハイグレっ!」
 やがて、ハイグレを繰り返させられる中で彼女はその絶望的な事実を悟った。それと時を同じくして、理保子の体内にある変化が起き始める。
「ハイグレっ! ……んん、ふぅっ……ハイグレぇっ! ハイグレぇん!」
 にっちもさっちも行かないこの現状を受け入れさせんと、緊張をほぐすかのように快感と幸福感が滲み出す。ハイグレは怖くない、むしろ安らぎを与えてくれるものなのだ、と言わんばかりに。その作用がVRヘッドセットによるものか、人体の防御反応なのかは定かではない。だが事実として、彼女はハイグレを刻む度に嬌声でしか表現できない心地よさを感じていた。
 こうして理保子の凝り固まった心は少しずつ溶かされていく。異常とも思える動きと格好も、周囲の皆も同じであるならばそれは正常となる。誰もがハイグレ魔王の洗礼を等しく受け、一様な存在に生まれ変わったのだから。
 ヘッドセットの向こうの現実世界の自分がどうであるかなど、もはや思案の外だった。男性ディレクターが彼女の姿を今もカメラに収めているということは完璧に忘れ、理保子は快楽に溺れていった。
「ハイグレぇっ! ハイグレぇん! あは、ハイグレぁぁんっ!」
 ハイグレ光線を浴び、白いハイグレ姿となり、ハイグレポーズをとる自分。それが何者なのかは明白だ。
「ハイグレっ! 私はハイグレ人間、塚野内理保子ですぅぅぅっ! ハイグレぇっ! ハイグレぇっ!」
 理保子はこう宣言することでむしろ、自分が心からハイグレ人間となったのだという事実を受け入れたのだった。
 彼女の転向の一部始終を安全領域から見下ろしていたハイグレ魔王が、仮面の下で満足気に笑う。
「ホッホッホ! これでアナタもハイグレのトリコ。もうアナタはハイグレなしでは生きていけない、そうでしょォ?」
 尋ねられた理保子は、ハイグレで返事をする。
「ハイグレっ! その通りです! こんなに素晴らしいハイグレのない生活なんて、もう考えられません! ハイグレっ!」
「ホホホ! そうでしょそうでしょ、アナタはとっくに立派なハイグレ人間よ♪」
「あぁ……愚かにも魔王様やパンスト兵様に銃を向けた私にさえも、そうおっしゃってくださるなんて……! この命尽きるまで、魔王様にハイグレを捧げます! ハイグレっ!」
「アぁラ嬉しいこと言ってくれるじゃない。ケド」
 魔王は仮面を半分外し、直接理保子と視線を交わした。それが彼女にとって、最初で最後のお目通りとなった。
「この『夢』はここでオシマイ。いつかまた会えるといいわネ♪」
「え?」
 理保子がその言葉の意味を解するより早く。
 Chu♥――投げキッスの音とともに、ハイグレ人間理保子の世界は崩壊した。


 翌日夕方のニュース番組、その特集コーナーにて。塚野内理保子は普段通りのスーツ姿でカメラに向かい、笑顔でハキハキと口を切った。
「次は情報最前線のコーナー! 今日より一般公開が始まった大注目のイベント、イコイコ超会合! 実は私、昨日のメディア公開日に一足早く楽しませて頂いておりました! その様子をどうぞ、御覧くださいっ!」
 との振りに合わせてVTRに放送画面は切り替わる。
 最先端技術を扱った幾つものブースを、理保子が魅力たっぷりに紹介する映像。彼女のリアクションもさることながら、ディレクターの編集技術もとても手馴れている。話題のイベント特集ということもあり、視聴率はVTRの最中にも関わらず急上昇を見せた。
 自身の出ているVTRをこそばゆそうに眺める理保子。彼女の目が、映像の終わり際にカッと開いた。
『こんにちは! えっと、こちらは何のブースなんでしょうか?』
『ここは「超ハイグレVR」のブースよ』
 今、カメラは回っていない。スタジオの他のアナウンサーやスタッフも、理保子からは視線を外している。
 故に誰も気付かなかった。正確には数人は目撃していたが、その意味する所までは悟られなかった。
 ――彼女がタイトスカートの上から、ハイレグのラインを小さく上下になぞっていることに。
 ハラマキレディースが映り、パンスト兵が映り、ハイグレ魔王が映る。VR体験映像は一分ほどのダイジェストにまとめられていたが、ハイグレ魔王軍の面々の姿を僅かでも見られただけで、理保子はそれこそ天にも昇るような気持ちになっていた。
「V明けます! 5、4、3……!」
 理保子はADの声に、弾かれたように表情を作り直してみせた。しかし一瞬ではあったものの、彼女の蕩けた赤ら顔はカメラに捉えられてしまっていた。
 そんなこととはつゆ知らず、誤魔化せたと思っている理保子はまとめのコメントを言う。
「いかがでしたでしょうか? イコイコ超会合は明後日まで開催です! 皆さんも是非是非足を運んで、超技術を体験してみてくださいっ!」
 数秒尺が余ったのだろうか、コメントの最中にADがカンペを書きなぐり、スタジオに向けた。そこには『おすすめブースは?』とあった。
 ならば、理保子の答えは一つに決まっている。
「ちなみに私のおすすめは、VTRの最後にありました『超ハイグレVR』! あの感覚は一度味わったら忘れられませんよぉ? ――以上、情報最前線でした! ハイグレっ!」
 全国の電波に自分の着衣ハイグレポーズを堂々と流すことに、躊躇いは一切無かった。既に身も心もハイグレ人間な彼女ゆえ、一人でも多くの人にハイグレに興味を持ってもらいたい一心でポーズをとったのだった。
 下着代わりにピタリと張り付き柔肌を締め付ける純白のハイレグ。それは理保子が昨日のうちに自らの意志で購入した、彼女にとっての至高の正装なのだった。

 超ハイグレVR。それはハイグレ魔王の次なる侵略の手段。ゲームを楽しむうちに微弱なハイグレ光線で洗脳された体験者は、現実の自分がハイグレ姿でないことに耐えられなくなってしまう。そして同時に刷り込まれた情報に従って、不完全なハイグレ人間は吸い込まれるようにとある店に赴いてしまうのだ。
 表向きにはハイレグ水着専門のマニアックショップ。だが陳列されているハイレグに全てハイグレ魔王の加護が掛かっているという事実を知る者は、殆どいない。

  *完*




いかがでしたでしょうか?

自分としては初挑戦となりましたが、ハイグレ作品でも昔から、人間用/ハイグレ人間用/ハイグレスパイ用を問わず訓練シミュレーター的なネタはありましたね
多分その大体は、ハイグレ星か博士キャラの超技術によるものだったと思います。しかし今やそういう仮想現実がリアルに実現しかけているのだから驚きです
某超会議のVRブースの展示や、それ以前のサマーなんちゃらとかいうおねいちゃんとキャッキャウフフできるVRゲームのことなど……本当に、すげぇ時代になったもんだなと
いやまあ……自分は今はVRのやつを購入する意志はありませんけど。でも一度くらいは体験してみたいなと思います

今回の超ハイグレVRでのヘッドセットはコントローラーもないですので、イメージとしては某ナーんとかギアみたいなものと考えていただければと思います
しかし、いつか人間の脳波を読み取るレベルにまで科学技術は進んでしまうのでしょうか
……もし思考を外部に文字や映像として出力できるようになってしまったら、ハイグレの煩悩まみれの自分なんか物凄い辱めを受けることになりそうで怖いです

ではでは申し訳ありませんが、完結はまたもう少々お待ちくださいませ。そんなに長くはなりませんので




こんな感じでいかがでしたでしょうか?

前回コメで指摘された通り、魔王戦は強制負けイベです。もちろん道中で撃たれてもゲームオーバーだし、あるいは戦わずにパンスト兵から逃げるプレイも可能ですが、どうにせよハイグレ光線を浴びない限りはVR体験は終わりません。正にSA○と同じくらい酷い話ですな

ラストはちょっと変な〆になってしまいました。が、第二回企画がうまいこと想定どおりに運べば、謎のハイグレショップとその客としての理保子などを書きたいと思っています
……じゃあそうならなかったら? まあ、それでもいつかは書く気でいますけどね

とにもかくにも、プレイ○テーションVRが予約開始されたばかりのこの時期にはタイムリーな小説となりました
いつか感覚までダイブできるようなVR体験が本当に実現したらいいですなぁ
ああ、仮想空間でいいから女の子になってみてぇ、そしてハイグレしてみてぇよう……

ではではー
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遺憾の意

まさかここで続く・・・だと!?そんな馬鹿な…私は断固抗議したい!

と冗談はさておき「VR」という無茶振りに応えていただきありがとうございます。原作をモチーフとしたゲームをプレイできるなんて、なんて羨ましいんだ!徐々にゲームにのめり込んでゆき、現実との見境が失われていく過程が短編ながらに十分伝わってきます。あと、そうなんですよ!あれはプレイヤーを外から見ていると滑稽なんです。そんな滑稽なプレイヤーが洗脳される様が楽しみで仕方ありません!ということで早く続きをギブミー!

P.S.・・・そっかVRなら自分をハイグレを着た女の子にできるんだ・・・

No title

こんばんハイグレー!(`・ω・´)ノ 香取犬さんが何やら作品を大量放流してそうな匂いをキャッチしたので釣られてのこのこやってきました(謎

10分でこのクオリティ……だと……!?(((( ;゚Д゚)))やはり天才か……!
私には到底マネ出来ない離れ業なので指をくわえて傍観するとして、次いで気になるその内容! 噂のVRネタがとうとう来た!!(*´д`*)チュートリアルでリリ子がハイグレ人間化しちゃったり、生命の危機を煽って射撃の腕前を向上させて行くよう強制しちゃったり、最終的に魔王様という負け確定イベントがあったりで、実はこのゲームの真の狙いは……!? と色々妄想を喚起させられてハァハァしながら一息に読んじゃいました!
一般向けブース出展イベントにハラマキレディース様が正体丸出しで案内している様子も違和感なくすっぽり受け入れて脳内描写することができて、相変わらず香取犬さんの筆力&シチュエーション取捨選択能力の高さが如何なく発揮されていて全力で感心……(`・ω・´)ノシ 一番乗りを私から奪ったROMさんのおっしゃるとおり続きが気になりすぎて全裸待機安定!といったところで今宵はこのへんでではではー!

ほっこり

綺麗なハイグレエンドにROMの人も思わずほっこり♡
というわけで無茶振りに応えていただきありがとうございました
一見何事もなかったように見えてしっかりと洗脳されている感じがたまりません
VRには男の夢が詰まってますね()

さて第二回SS作家企画が0106さん(永遠の二番手)によって企画されましたね
BIGプロジェクトともども力作を楽しみにしております

No title

こんばんハイグレー!(`・ω・´)ノ 完結と聞いて!

着衣の感覚が無くなっていく、そしてハイグレを身にまとう感覚が襲う……(*´д`*)素敵ですねぇ、ヴァーチャルなのにとってもリアル!っていうのが現実を侵食していく、通常のハイグレ洗脳とはまた一風変わった過程を経ているのが色々可能性を感じる新鮮さに満ち満ちてるでえ……
そ し て ラストシーンからまさかの第2回企画に繋がる展開ッ!!(*´д`*)楽しみすぎィ!!

ってことで以上、おそらく第2回企画でも香取犬さんにとってもお世話になるであろう永遠の二番手0106でしたー(`・ω・´)ノシ ではではー!

No title

激遅になりましたが、完結おめでとうございます。
某○AOを思わせる舞台設定もさることながら、最大の特徴である脳の電気信号のみで洗脳していくとは折り込み方の巧さに舌を巻くばかりです。
ハイレグを自ら買いに出向くなんて、進んで染まらせる滑稽さがたまりませんなぁ~。

そして、第2回まで繋ぐとはさすがですね。
お互い企画でも楽しみましょうー!

No title

iam american

and i love ハイグレ

most of all i love ROMの人

can i see more picture of ROMの人

or

http://romnohito.blog80.fc2.com/

Password

i want more ハイグレ picture

Re: Mr.Highgle from america

Hello, I'm glad of your visiting.(Unfortunately I'm not good at English...)
In my opinion, ハイグレ is sexual preference that is not famous and unique to Japan.
But there are so many ハイグレ lovers in the world, like you. That is amazing and makes me happy.

By the way, I asked Romnohito about the inquiry and he said,
"Sorry, that website is not Romnohito's site. I think the user is different people with the same name.
At present, my website is only here, romnohito.x.fc2.com/ (ハイグレ人間クリエイター highgle brainwashed women creator)"

Thank you.

P.S.
Of course, I love Romnohito's picture, too!


こんにちは、ご訪問ありがとうございます。(英語は得意ではなくて申し訳ありません)
私の意見では、ハイグレは有名ではなく、そして日本独特の性的嗜好だと思います。
しかし、あなたのようにハイグレ愛好者は世界中にいます。これは驚くべきことですし、私は幸せに感じます。

ところでお問い合わせの件について、私がROMの人さんにお尋ねしましたところ、こう仰られました。
「そのウェブサイトは私のものではありません。同名の別人のサイトだと思います。
現在のところ私のウェブサイトは『ハイグレ人間クリエイター』しかありません」
プロフィール

香取犬

Author:香取犬
ハイグレの洗脳を受けて早幾年
遂に自らハイグレ小説を書くようになってしまいました
いつでもネタ募集中です
酉◆RYenwqtp9Y

関連リンク
新興宗教ハイグレ教
 →ハイグレアイドル候補生!
ハイグレ小説王国
 →変わりゆく若人たち
 →帝後学園の春


*応援しています*
ハイグレ第参ホール by参式
悪堕ち・洗脳・ハイグレ 絵とSSのひととき by正太郎
ハイグレ帝国史 byソラ
ハイグレストーリー! byナッシー
ハイグレ小説を書きたいだけの人生だった……。 by0106
ハイグレSS秘密研究所 byぬ。
くもりのちはいぐれ byなまもの
ZweiBlätter by空乃彼方
ハイグレ創作喫茶 byボト


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