【リク】転校生はハイグレ戦士 Scene2-3:発覚

どうも香取犬です。そして8月です

夏バテはあまりしない質なので、頑張って色々書きたいというのが今年の夏の抱負です
たくさんのリクも来ていて嬉しい悲鳴を上げているのですが、しかし申し訳ない。自分のペースでこなさせてください
複数作品を同時並行なんて自分にはキャパオーバーかも、なんて弱音の一つも吐いてみたり
――だからこそこいつを進めねば!


と書いたのがちょうど一年前の8月4日だそうです。そしてそのときの記事こそが、『転校生~』のScene2-2でした
つまりですね、この、有難き当ブログ初リク作品をまる一年間放置していた、ということみたいなのです
いやはや本当に、リク主の>>2さんを始め、先日コメントを寄せていただいたとっしーさん、支援絵を描いて下さった正太郎さん、そして読者様方にはこんなにお待たせいたしまして誠に申し訳ありませんでした

前回、中断中の作品を3つ進めると書きました。だからまずはこの作品を進めます。この一年間、これを進めたかったのは自分も同じなんですから
……でも現在のところ、このScene2-3はまだ書きかけです。プロットは出来上がっているので、そこまでは最優先で書き進めます

*作品とは関係ありませんが今更、ブログ(PC表示)の基本の文字色を#CCCCCCから#D4D4D4に変更しました。要するに僅かに明るくなり、明暗が気持ちハッキリするようになりました



アクション仮面vsハイグレ魔王 After If:転校生はハイグレ戦士 Original by >>2
Scene2-3:発覚


目次
謎の会議
プールと更衣室
尾行する者される者
電撃とアクション戦士
洗脳解除とパニック
アクション戦士を打ち破れ

あとがき
あとがき(8/11)


【これまでのあらすじ】
 とある地方都市に引っ越して来たばかりで友達のいない高校生・鈴村桜は、ハイグレ魔王によって路地裏の駄菓子屋に呼び寄せられた。そしてそこでハイグレ戦士としての洗礼を受ける。ハイグレ戦士の使命は、力を失った魔王の代わりにハイグレ人間を増やしつつ、ハイグレ戦士の資質を持つ者を探すことだった。そうすれば魔王は力を取り戻し、憎きアクション仮面とアクション戦士を倒せる、と言うのだ。
 桜は学校でできた初めての友人・瀬野雫をハイグレ戦士にした。また、二人のクラスメイトであるお嬢様・千石千種とメイド・保倉文が既にハイグレ人間であることも知る。
 時同じくして、千種と文は"お茶会"と称して、隣のクラスの少女・柿崎美智留を家に招待して洗脳してしまう。美智留は昨日、桜がハイグレポーズをとっている瞬間を目撃してしまっていた。その話を聞いてしまった、雫と桜の友人・間室沙羅が、次の"お茶会"のターゲットになった。
 だが、そんな千石邸の様子を伺っている者がおり……?





【white:それでは、今日の定例報告会を始めます。誰か、調査に進展などはありますか?】
【green:一つ、判明したことがある】
【blue:もしかして"お茶会"について?】
【green:今日の放課後、千石は柿崎を屋敷に誘い込んだ。そして千石の自室で、柿崎は洗脳された。ハイグレコールは女性のものが三つ。保倉も、あるいはその他の同居人や使用人も既にハイグレ人間とみていいだろう】
【red:あの家、セキュリティが厳しくてあたしたちじゃ忍び込めなかったのに。さすがはグリーン】
【green:当然、過去にお茶会と称して千石邸に連れ込まれた者達も洗脳済みのはず】
【white:第一高校の侵略は、かなり進んでいると見ていいでしょうね。……それは、こちらの第二高校も同じですが】
【red:だねー。けど、まだあたしたちのことがハイグレ側にバレるわけにはいかないし】
【white:悔しいですが、その通りです。それにまだ、アクション仮面の仰っていた"ハイグレ戦士"とやらは現れていません。ですからもうしばらくは様子を見ましょう】
【blue:そのことなんだけどさ……】
【green:どうした】
【blue:……多分、あの転校生はハイグレ戦士だ】


 雫のハイグレ戦士化と美智留のハイグレ人間化から一夜明け、金曜日。
 桜たちの通う第一高校は、今日を以てプール納めとなる。学校のプールの授業というものは、プール開きは水温の低い時期から始まるくせに、終わるのは残暑が厳しくまだ涼を求めていたい頃なのだ。生徒たちは今年最後のプールの感触を惜しむように、精一杯に水を掻き分けていた。
「うわ、桜も雫も速いなぁ」
 一巡先にタイム計測を終えていた沙羅の元に、自己ベストを叩きだした桜と雫は水滴を滴らせつつ歩いていった。
「何だか調子が良くってね」
「そうそう、たまたまだよー」
 と、二人は謙遜をする。沙羅もそれ以上タイムについて言及することはなかった。
 そこに、体育の男性教諭の声がかかる。
「――よし、計測は終わりだ。チャイムがなるまで自由時間にしていいぞ!」
 俄に生徒はワッと盛り上がり、残り少ない楽しい時間を享受した。

「そういえばさ」
 そうして体育の四時限目が終わって更衣室に戻り、制服への着替えを始める生徒たち。女子更衣室で濡れた髪を拭きつつ、沙羅が二人に尋ねる。
「雫も桜も、アタシらと違う水着だよね。この、キャミみたいなのじゃなくて」
 第一高校はスクール水着について、学校で着るようなものであれば特に細かい指定はない。故に水泳部の者などは競泳水着だったりするのだが、多くは学校指定の制服店で購入したスクール水着を着ている。女子の場合は肩紐が白いパイピングの、いわゆる新型スクール水着だ。
 しかし桜と雫は、それを着ていない。かと言ってあの鋭利なハイレグ姿を晒していたわけでもない。二人は、肩紐も身頃と一続きの旧型スクール水着を着用していた。
「私のは東京の高校で使ってたやつだよ」
「まあ、着れるのにわざわざ買い替えはしないか。で、雫は何で?」
 う、と一瞬雫は返答に窮する。前回のプールの授業では雫は、他と同じ水着を着ていたのだから。
「あ、え、えっとね。実は……洗濯に出すのをすっかり忘れちゃってて……」
 必死に絞り出した言葉に、沙羅は、
「ったく、本当に雫はおっちょこちょいだなぁ」
 と呆れ笑いを浮かべたのだった。胸を撫で下ろす、雫と桜。
 もちろん嘘だ。二人が旧型スクール水着を着ていることには、もっと大きな理由がある。
 桜は首周りにゴムの入ったラップタオルをしっかりとまとい、その中でスクール水着の肩紐を下ろした。そこにはほぼ同じ繊維で作られた、薄ピンク色の水着の肩紐が掛けられている。湿ったスクール水着を巻くように下ろし、脱ぎ去る。すると桜はタオルの中で全裸ではなく、ハイレグ水着一枚の姿になった。
 ……誰にも見られてない、よね?
 ぎゅっとタオルを身体に密着させながら、周囲を確認する。首周りから肩紐が、あるいはスナップボタンの隙間から胴回りが垣間見られていやしないかと。スクール水着を脱いだ今、タオルの中は全裸でなくてはいけない。そうでなくもう一枚水着を着込んでいたと誰かに知られれば、追求されかねない。そして自分がハイグレ人間であることが公になってしまう。
 しかしそんな緊張感が、逆に桜にとっては快感でさえあった。
 ……大丈夫。気付かれてない。こんなに近くに人間がいるのに、バレてない。
 隣で着替える雫も、全く同じ胸の高まりを感じていた。彼女のタオルの下も今、水色のハイレグ姿なのだから。
 ……うぅ、沙羅ちゃんに見られてたら大変だったよ……。けど、すっごくドキドキした……!
 二人が旧型スクール水着を選んだ理由。それはプールの授業中でさえ、ハイレグ水着を着ていたかったからだ。新型のものではハイレグの肩紐を隠せないが、旧型ならば問題がないのだった。
 ハイレグが水に濡れるとどうなるかは確認済みであった。ハイグレ魔王に与えられた特殊な水着の布地の外側は完璧に水分を弾き、それでいて内側の汗などはよく吸って外へと排出する。つまり、超長時間着続けようともプールに入ろうとも、一時も着心地が不快にはならないようになっていた。
 念の為桜は腹のあたりを擦る。布地は問題なく乾いている。確認が済むと、ハイレグの上にスカートを穿き、インナー用のシャツとワイシャツを器用に着た。そこまでをラップタオルの中で終わらせて、それを取り外す。サマーベストもあるが、身体が火照っているので今は着ないことにした。
 ほぼ同時に沙羅と雫も着替えが完了した。ポニーテールを括り直した沙羅が「じゃあ戻ろっか」と言ったとき、
「――ねえ沙羅。ちょっといいかしら?」
 一人の女子が、そう呼び止めた。
「千種? どしたん、改まって」
 沙羅はきょとんとして、声の主――千石千種を向いた。ウェーブの掛かった長い髪が、しっとりとした艶を帯びている。すぐ後ろには、同級生にして使用人の文が控えていた。
 千種は沙羅を警戒させまいとする声色で、微笑んで言った。
「良かったらこれから、一緒にお弁当を食べましょう? 屋上なんか、風通しが良くてぴったりだと思うのだけど」
 それを聞いた桜と雫が、顔を見合わせる。
「お、"お茶会"だ!」
「沙羅ちゃんスゴい! いいなぁ!」
 沙羅は少し返答に迷う。しかし満更ではなさそうな表情をしていた。
「……じゃあ、お言葉に甘えようかな。ごめん雫、桜、今日は千種たちと食べるよ」
 その瞬間、桜の脳裏に閃くものがあった。千石千種と言えば昨日、ハイグレ魔王が言っていた『ハイグレ戦士候補だったハイグレ人間』ではないか。また、"お茶会"は招待した人間を洗脳するための口実に違いない。ということはつまり、千種は。
 ……沙羅をハイグレ人間にしようとしてるんだ!
 桜としても、どうやって接点のない千種と接触しようか手をこまねいていたところだった。ならばこの機に乗じない手はない。
「あ、あの、千石さん!」
「えっと……鈴村さん、でしたかしら」
「はい。えっと、もし良かったら私と雫も、ご一緒させてくれると、嬉しいんです……けど」
 語勢がだんだん弱まっていったのは、言葉を続けるのに比例して文の眉間にシワが寄っていったからである。その文が、叱るような厳しさで言う。
「申し訳ありませんが――」
 やはりダメか。諦めかけたとき、意を決したように雫が文に歩み寄る。そしてほぼ抱きつくぐらいまで近づいて何やら小声で話すと、文は一転、千種に頷いてみせたのだった。
「……分かりましたわ。では三人とも、屋上へ参りましょうか」
 千種はそう言い、文に扉を開けてもらって更衣室を出て行った。
「まさか千種が折れるなんて。雫、何て言ったのさ?」
「えへへ。沙羅ちゃんには内緒だよっ」
 ちぇ、と舌打ちをした沙羅も、扉に手を掛ける。そして一度振り向いた後、千種を追いかけていった。
 桜と雫は更にその後に付いて行く。廊下を歩きながら、雫は桜の耳元で囁いた。
「あのね。実はさっき、文ちゃんにハイグレを見せたんだ」
「え!?」
 "お茶会"の誘いのために他の女子生徒からも注目を浴びている場で、ポーズを取ったのかと驚いた桜だったが、それは勘違いであった。
「違うよー。こうして、水着を見せたの」
 雫は胸元のリボンを外し、ワイシャツの隙間から僅かに覗く水色の布を指さした。それがハイグレ人間の着る水着であるということは、同じハイグレ人間ならば判別できるはず。つまり雫は千種たちに、沙羅と同伴することを認めさせると同時に、自分たちがハイグレ人間であることまでも伝えたのだった。向こうとしては仲間であるこちらと協力しないわけがない。その機転に、桜は感謝せざるを得なかった。
「わたし、桜と魔王さまの役に立てたかな?」
「うん! 雫、本当にありがとう」
 えへへ、と雫は嬉しそうに眼鏡の奥の目を細めた。
 千種と文、沙羅、そして桜と雫がバラバラと屋上へ向かっていく。その背後を、あからさまに周囲を警戒しながら身を隠しつつ進む女子生徒が一人いた。しかし彼女は気付かない。そんな彼女自身が何者かに尾行されているということに。

「んっ……しょ」
 サイドテールを揺らして制服を脱ぎ、美智留は鮮やかな黄色のハイレグ姿になった。美智留の前にある鉄の扉は、千種たち五人がいる屋上に繋がっている。ここで美智留は待機して、もしもターゲットが逃げてきた場合に迎え撃つ、という手はずになっていた。ただその中に、服を脱げという作戦はなかったはずだが。
 ……どうせここには誰も来ないし、いいよね。それに半日我慢してたから……もう、限界……っ!
 唇をだらしなく歪ませ、あられもない格好で水着の鋭い足ぐりに手を添えた。そして、
「ハイグレ……ハイグレ……んぅっ……ハイグレぇっ……!」
 ハイグレポーズの快感を全身に味わった。
「はぁ、はぁ……沙羅ももうすぐ、あたしたちの仲間かぁ……!」
 扉の向こうからハイレグ水着姿に変わった沙羅が出てくることを想像して、目を蕩けさせる。
「ハイグレ、ハイグレ、ハイグレ! あはっ、やっぱり気持ちいい……あたし、ずっとハイグレ人間でいたいなぁ」
 声を抑えることも忘れて、美智留はハイグレに耽った。
 だが彼女の願いは、次の瞬間に打ち砕かれた。
 美智留の首に、音もなく白く細い腕が回る。喉が締まり、混乱の中で意識が薄れる。
「か、は――」
「今、楽にしてやる」
 背後の女性が静かに言う。殺される、千石さんごめんなさい。そう思った美智留だったがしかし、命が奪われることはなかった。
 代わりに、
「きゃぅ……っ!」
 背中にハイレグ越しに当てられた掌から、強い電撃が注ぎ込まれる。美智留は踏み潰された鼠のような断末魔を上げて仰け反り、そして気絶した。
 床に優しく横たえられた美智留の身体に、異変が起きる。ハイレグがプスプスと煙を発し、それが美智留をすっかり包んでしまってから十数秒。再び現れた彼女は、ややおめかし気味の純白のワンピースを着ていた。彼女がまとっていたハイレグ水着は完全に、消えてなくなってしまったのだ。
 一分もしないうちに、美智留は目を覚ます。自分に何が起きたのか思い出す過程で、ハッとして胸元に手を当てる。そのワンピースを最後に着ていた場面を想起すると、頬が急に赤みを帯びた。
「あ、あたし今まで……はぅ……!」
 何やってたの。言葉が続かないほどに、美智留は己の行った、狂った所業の数々を恥じた。
 ……千石さん家でいきなりハイグレ人間にされちゃって、あんな恥ずかしいポーズさせられて。なのにあたし、あんなので気持ちよくなっちゃってたなんて……。
 まだ下腹部に、ハイグレによる異常な快楽を思い描けた。しかし美智留の中には最早それに、嫌悪感と羞恥心しか感じられなくなっていた。何故自分があんなことをして悦んでいたのかすら、理解が出来なかった。
 ハイグレ光線による洗脳が、解けたのだった。
 美智留はこの一日の自分の言動を受け入れたくない気持ちのまま、回想を続ける。
 ……それで千石さんたちの仲間になっちゃって、沙羅のことを……!
「――さ、沙羅が危ないっ!」
 屋上には沙羅と千種がいる。このままでは沙羅も、自分のようにされてしまう。急いで跳ね起きた美智留だったが、その手首を抑える者がいた。
「御堂、さん?」
 振り向いた美智留の目に映ったのは、沙羅のクラスの女子。昨年は美智留自身と同じクラスだった、御堂恵実であった。
 そして美智留は気付く。今さっき我慢できずにハイグレに溺れてしまった自分を助けてくれたのは、恵実だったのだということに。
「御堂さんが助けてくれたんだ……」
 ありがとう、と言われる前に、恵実は美智留の口を塞いだ。
「静かに」
 仕方がないのでお礼を諦め、大声で喋らないことを了承すると解放された。
 恵実は歩き、扉の向こうに耳をそばだてる。その表情は真剣だ。恵実は沙羅を助けようとしているのだろう。美智留も、気持ちは同じだ。
「……あたしにできること、ある?」
 近付いて囁くと、恵実は視線を寄越すこともなく答えた。
「間室がこちらに来たならば、昨日、柿崎が千石から聞いたことを全て話せ。そして一刻も早くここから離れろ」
「全て?」
「そう。ハイグレに関する情報を全てだ。いいな」
 ……お、思い出すだけでも恥ずかしいのに……。
 だが、命の恩人の頼みを断る訳にはいかない。それに沙羅の身の危険も掛かっているのだから。
「わ、分かったよ。……あの」
 美智留は頷くと、ずっと気になっていたことを訊ねることにした。
「御堂さん、あなたは一体――」
 その瞬間、恵実の姿は美智留の視界から掻き消えて、遂に答えを聞くことは果たせなかった。

 昼休みが終わる五分前を告げる、予鈴が響いた。
「……あら、もうこんな時間」
 それを耳にした千種は楽しげに話していた表情を一転させ、残念そうに呟く。
 屋上で交わされていた会話は、主に千種が中心となっていた。千種の、世間との感覚のズレによる失敗談などは、庶民な三人にはとても新鮮に聞こえた。だからこそ皆とより仲良くなって、普通の感覚を身につけて周りに馴染みたいのだ、と千種は語った。
 それは金持ち自慢に思えなくもなかったが、話してみると彼女に悪気はなく元来素直な性格なのだろうという好印象の方が強く持たれたはずだ。
 ――彼女の服の下の真実を知っていなければ、という仮定の上でだが。
 桜は会話の輪に加わって純粋に楽しむ一方で、千種の巧みな話術に戦慄していた。
 ……どうしてだろう。いつの間にか私、もっと千石さんと話していたいって思ってる。
 そして納得する。このような気持ちにさせられて"お茶会"に誘われたら、二つ返事で了承してしまうだろう、と。
 千種は穏やかな視線を、沙羅、桜、雫、そして再び沙羅へと移ろわせて言った。
「私、あなた方とはまだ話し足りないのに……そうだ、もし良かったら今日の放課後、私の家にご招待するわ。いかがかしら?」
 すると雫は俄に目を輝かせた。
「そ、それってわたしたちも、"お茶会"に行っていいってこと!?」
「もちろん。瀬野さんも、鈴村さんも、来てくれるわよね?」
 雫は何度も首肯した。"お茶会"とは人間を誘い込んで洗脳するための口実だということは既に理解しているのだが、その言葉の響きに抱く憧れは以前と変わっていないようだった。
 桜も「はい」と返事をする。
 ……そこでならハイグレのことについて、色々話せるはず。でもその前に、沙羅を洗脳しないと。――いや、それよりまず。
 沙羅は"お茶会"の誘いに乗るだろうか。不安がよぎって沙羅を見ると、返事に窮しているようだった。
「うーん……ちょっと部活の先輩に、休んでいいか聞いてみるね」
 と、申し訳無さそうに携帯電話をスカートのポケットから取り出し、立ち上がって背を向けた。
 桜は何気なく、雫に聞いてみた。
「沙羅って何部なの? 運動部?」
「ううん、演劇部だよ。演技がとっても自然で、ほんとに上手なんだよ」
「そうなんだ」
「でもね、その分お稽古がすっごく厳しいんだって。だから休んでいいって言われるかどうか……」
 その会話の間に沙羅は屋内への扉に手を掛けていた。
「あ、もしもし百合先輩。すみません今日、用事がアレでして――」
 電話を聞かれないようにするためなのだろう、と桜は思ったが、対照的に千種と文の表情は険しい。このまま逃げられてはまずい、と目が語っていた。そこで文は素早く光線銃を取り出して狙撃の構えを取る。そして扉を開いてしまった沙羅の背中目掛けて、引き金を絞る。電子的な発射音と共にピンクの光が走った。
 文が決断からここまでの行動までに要した時間は約1秒。ハイグレ人間となって強化された判断力と身体能力の成せる業であった。これで沙羅もハイグレ人間となる――その場のハイグレ人間たちは、文の働きを賞賛しつつそう確信したのだが。
 バチッという電気の爆ぜるような音がして、ハイグレ光線は宙空で弾けて消えてしまった。四人は目を瞠る。何が起こったのか誰にも理解できないでいるうちに、
「が……っ」
 射撃した文本人が黄色い雷のような光に襲われて、膝からコンクリートの床に崩れ落ちた。
 千種が想定外の展開に狼狽し、文に駆け寄って叫ぶ。
「文! 一体どう――あぐっ」
 しかし彼女も文と同じ電撃に包まれて短い悲鳴を上げた。そして二人は隣に並ぶように倒れ伏す。その身体から、湯気のような煙を発しながら。
「保倉さん! 千石さん!」
「雫、私から離れないで!」
 桜は二人を助けに行こうとする雫を制止した。脳裏に、昨日ハイグレ魔王が言っていた敵の名、アクション戦士という単語が浮かんでいたのだ。
 ……もしかしたら沙羅を守るために、アクション戦士が来たのかもしれない。敵がどこにいるのか分からないのに雫と離れていたら危ない……!
 雫は踏み出しかけた足を止めたが、次の問題に気がついてしまう。
「桜ちゃん! 沙羅ちゃんが行っちゃう!」
 沙羅のことを千種たちは、普段とは違いこの場で洗脳しようと試みた。その理由は桜たちには分からない。約束を取り付ける前に屋上から逃したくなかったからか、協力者が二人増えているからか、あるいは敵襲を予感していたからかもしれない。
 その沙羅は今、こちらの惨状に全く気づかずに電話を続けており、もう間もなく完全に扉を閉めてしまうところだ。隙間から僅かに背中が見えているに過ぎない。
 ……でも諦めたくない! 今ここで、沙羅をハイグレ人間にしなくちゃ!
 桜の心の中に、洗脳への強い意志が生まれる。すると無意識のうちに身体が動く。左腕を沙羅に向け伸ばし、右手はそれと左手と沙羅とを一直線に結ぶように引き絞った。その手と手の間に、淡いピンクの光が灯る。このようにした桜の立ち姿はまるで、透明な弓に光の矢を番えているかのようであった。
 しかし、
「――くぅっ!?」
 桜は突然、左手首に強烈な痺れを感じて顔を顰める。衝撃で構えも解けてしまい、その隙に扉は大きな音を立てて閉じてしまった。桜は痛みの中で悔やんだ。結局沙羅を逃してしまったことと、自分までも正体の分からない攻撃によって倒れてしまうことを。
 ……ごめん、雫……後は任せるよ……。
 気絶を覚悟した桜だったが、意外にも電撃の痺れは数秒で治まってしまった。そして膝を屈することもなく耐えきった桜の前に、立体的な影がぼんやりと浮かんできた。
「桜ちゃんっ! ……え?」
 雫の驚きは、その人影に対してだ。それは霧が晴れるように人の形を成していき、徐々に人相が判別できるようになる。
 そして二人は見た。桜の手首を掴む緑髪の少女――御堂恵実の姿を。
「……効かない、ということはやはり報告の通りか。しかし、ステルスが切れるとは……」
 恵実は小さな声量で呟く。故に言葉は桜たちには届かなかったのだが、それ以上に二人の意識が恵実の服装に集中していたから、の方が大きな理由だった。
「御堂、さん……!? その格好は……」
「うわ……」
 恵実の装いについて、桜には奇怪に見え、雫の吐息には哀れみが含まれていた。
 濃緑色を基調にしたタイツに全身を包み、手足には白のグローブとブーツ、胸には膨らみを持った胸当てを装着している。そして額に、何かのヒーローの仮面を象ったと思われる装飾のあるサークレットを付けていた。熱意に満ちて釣り上がった彼女の瞳には、桜と雫が完全に憎むべき敵として映っている。
 どう見てもヒーローのコスプレのような衣装を恥ずかしげもなく着こなす恵実。手首を放し、やや距離を取る。その背後で、千種と文がゆっくりと身体を起こした。
「ち、千種お嬢様、ご無事ですか?」
「ええ、まだ少し頭がクラクラと……って私、さっきまで何を――」
 千種は空を見上げて呆然とした後に、頭を抱えてうずくまる。
「嘘、そんな、そんなのって……私、が……ああああああぁぁっ!」
 その混乱ぶりは、並大抵のものではなかった。イヤイヤをするように激しく首を振っての絶叫。文は、自身も恐怖に顔を歪ませながらも「お嬢様! お気を確かに!」と必死に千種の肩を揺すった。
「保倉。千石を連れて早くここから離れろ」
 恵実の視線は、油断なく桜たちに注がれたままだ。
「……分かった。さあお嬢様、私の肩に」
「ごめんなさい文、ごめんなさい皆さん、私、なんてことをぉ……っ!」
 異様な醜態を晒す主人を引きずるようにして、文は屋上を後にしていく。状況がいまだに飲み込めない桜と雫は何も出来ずに、力なく丸まる二人の背を見送らざるを得なかった。
 ……まさか二人は、自分がハイグレ人間だったことを忘れさせられてしまった……のかな。だとしたら――!
 桜は考えを巡らせ、そして辿り着いた結論に怒りを覚えて拳を握った。ハイグレの快楽を、ハイグレ魔王の偉大さを、強制的に奪われてしまうことの恐ろしさを想像するだけで、おぞましく思った。
 御堂恵実。彼女が敵だということを、桜は改めて確認せんとする。
「……御堂さん。あなたがアクション戦士……なんでしょう?」
 すると恵実は否定する素振りも見せず、即答した。
「ああ。アクション仮面より力を借り受けた戦士が一人――アクショングリーン、御堂恵実だ」
「まさか、こんなに近くにいたなんて……」
 雫の言葉の震えは驚きのためだ。恵実は間髪容れずに声を張り上げた。
「さあ正体を現せ転校生! いや――ハイグレ戦士!」
 ……やっぱり、知られてるんだね。ごめんなさい、魔王さま。
「あはは、見破られちゃ仕方ない……よね」
 こうまで言われて隠し通せるはずがない。桜は観念し、胸元のビー玉大のペンダントを握りこんで精神を集中させた。そこから発される光に身を包んだ桜は、艶めくピンクのハイレグ水着――ハイグレ戦士のコスチュームへと瞬時に着替えた。
「そう、私はハイグレ魔王さまの下僕のハイグレ戦士、鈴村桜! ハイグレ! ハイグレ! ハイグレ!」
 宣言し、グローブを着けた両手で忠誠の証を形作った。恵実は眉一つ動かさずにそれを眺めていた。
 しかし、その固い表情は雫によって崩されることになる。
「じゃ、じゃあわたしも――ハイグレ戦士、瀬野雫ですっ! はいぐれっ! はいぐれっ! はいぐれっ!」
 雫も桜と同様にして、水色のハイグレ戦士の格好に身を包む。
「っ!? 馬鹿な、ハイグレ魔王がそれほど力を取り戻しているとは……!」
 今度は恵実はあからさまに狼狽した。しかしすぐに頭を振ると、
「……いや、何人いようと関係ない。お前たちにこれ以上好き勝手はさせない」
 強く断言して、二人のハイグレ戦士の目の前で姿を忽然と消した。
「私は絶対に負けない」

 ……どうしよう。何か話し中、みたいなんだけど。
 恵実に、沙羅が入ってきたらハイグレのことを話せと言われた美智留。だが、まさか誰かと通話中だとは思いもしなかった。
「百合先輩、やっぱり」
 上の学年に知り合いが多いわけではないが、百合という名に美智留は覚えがなかった。とにかく今は沙羅の通話の邪魔は出来ない、と少し待機する。
「……分かりました。こちらはこちらで何とかします。ご健闘をお祈りします」
 そう言って、沙羅は電話を切った。困ったような表情をする彼女に、美智留はようやく話しかけるタイミングを得る。
「沙羅、何を話してたの?」
「あ、ごめん。ちょっとね」
 ……健闘を祈る、なんて普通の電話じゃ使わないと思うんだけど……。
 しかしこれ以上の詮索をする理由も、時間もない。今すべきなのは役目を果たすことなのだ。
「あのね。あたし、御堂さんから沙羅に、あたしの知ってることを話せって言われてるんだけど……どうしよう、何から話したらいいんだろ」
 否が応でも頭に浮かんでくる、あの感覚。ぴっちりと肌に張り付く水着の着心地、ポーズを取るたびに身体を貫く衝撃、そしてその痴態をあまつさえ崇拝してしまっていた自分の愚かさ。この一日の間に味わった経験は、これまで生きてきた中で最も異常なものだったと思う。千種と文にハイレグ姿を見せつけられた直後、自分も同じ姿にされてしまうなんて。
 思えば異常は、一昨日商店街の裏通りを通ったときから始まっていたのかもしれない。その光景を、記憶の中から掘り返す。
 ……駄菓子屋の中でハイグレしていた、髪の長い女の子……あ。
 その後姿には見覚えがある。そう、確かついさっき――
 美智留がある一つの真実に辿り着いたのと同時に、再び屋上の扉が音を立てて開いた。日差しと共に入ってくるのは文と、彼女に担がれた千種。千種は虚ろな目で美智留を認めると、「ごめんなさい」を連呼しだした。
「ごめんなさい柿崎さんごめんなさい……私は、私は……っ! ごめんなさいぁぁああ!」
「落ち着いてください、お嬢様!」
 かろうじて言葉として聞こえる叫びを発する、パニック状態の千種。文に叱咤されても、うわ言を繰り返すのみだ。
 美智留は絶句する。おそらく千種も自分と同じく、ハイグレの洗脳を解除されたのだろう。
 ……あたしがハイグレ人間にされてたのは一日だけ。でも、千石さんや保倉さんはもっと長い間洗脳されてたはず。その間、ずっと他の人の洗脳活動をし続けちゃっていたんだ……。
 二人は先程まで制服の下に赤と白のハイレグ水着を着込んでいたのだった。だが電撃を浴び、目を覚ました時には水着は普通の下着に入れ替わっていた。
 当時はハイグレの崇高な理念を広めることに何の疑念も抱かなかったに違いない。だが正常な思考を取り戻せば、それがどれだけ異常なことだったかが分かる。今この瞬間も、千種の毒牙にかかったハイグレ人間は美智留と文を除き、心を歪まされたまま珍妙な水着を着ているのだ。そんな哀れな被害者を、自身も洗脳されていたとはいえ生み出してしまった千種の後悔たるや、想像に堪えない。いっそ、洗脳中の記憶を全て失ってしまえれば幾分楽であっただろう。
 千種の最大の協力者であった文が比較的落ち着いているのは、自分が千種を支えねばという使命感が先行しているからだった。使用人の役割に徹することで、一旦恐怖を頭から締め出しているにすぎない。
 沙羅が動く。文とは反対側に回り、千種を支えたのだった。
「ごめんなさい、私は、わた――」
 すると、絞り出すような懺悔の声が途絶えた。泣き疲れて気を失ってしまったのかもしれない、と美智留は思う。
 ……でも、今話すべきじゃないよね。
 恵実の指令は二つ。情報を話すことと、ここから離れること。ならば、
「沙羅、先に千石さんを保健室に連れて行こう? 話はその後でするから」
「うん」
 沙羅は千種の身体を手と肩でしっかりと支え、文と歩調を合わせて階段を下っていった。
 五時限目開始のチャイムが鳴る。しかし、授業よりも大事なことはいくらでもある。
 美智留たち三人にとって現在最も大事なことは、千種を休ませるために保健室に向かうこと。

 そして桜、雫、恵実の三人にとっての大事なことは、目の前の敵を今ここで打ち倒すことだった。
 ――私は絶対に負けない。
 力強く断言した恵実が、幻であったかのように消えた。これが恵実の固有能力なのだろう、と桜は考えた。ハイグレ戦士やアクション戦士は、基本的な能力以外にも異能を使えるとハイグレ魔王が言っていた。
 だが、そこまでである。現時点で桜と雫にはこの能力を破る術がない。
 ……屋上のどこかにはいるはず。だけど、見えないんじゃ攻撃のしようがない……!
 雫も戸惑いを隠せないまま、桜の背に寄り添う。二人合わせて屋上の全方位に視線を巡らせるが、どこにも恵実は見当たらない。
 いつどこから襲撃されるか分からない緊張感に、身体が強張る。こちらから手を出せない以上、取れる対策は恵実の攻撃を耐えて反撃することのみ。
 そう考えて足を踏ん張った桜の脇腹に、突如重い掌底が叩き込まれた。脇腹は、人間の身体の中でも物理的な弱点の一つである。
「ぐぅっ!」
 衝撃は、内臓を揺らしただけではなく、身体そのものを落下防止柵にぶつかるまで吹き飛ばした。桜は痛みと吐き気に襲われて呻く。一瞬前まで桜が立っていた場所に、攻撃に力を込めるために腰を落とした恵実が現れた。
 これを好機と、雫は桜に駆け寄りたい気持ちを抑え、振り返りざまに拳を握る。
「え、えいっ!」
 しかしそれは軽やかなバックステップによって避けられた。その程度の攻撃ならば見切れる、という恵実の余裕が表情にも現れていた。
「どうやらまだ、与えられた力を満足に扱えないようだな。ならば私に分がある――」
「あっ、また消えた!」
 雫の視線は、再び向ける先を失った。一度こうなってしまっては致し方がない。雫はいまだ膝を屈している桜を介抱しようと、早足で近づいていく。
「雫……」
「大丈夫? 立てる?」
 雫が差し伸べた手を取ろうと、桜も腕を伸ばす。しかしその指は何も掴めず空を切った。一瞬早く、雫が横から恵実の突進を喰らい、コンクリートの床に転がされたのだ。
「きゃあっ!」
「しず――うわっ!」
 姿を現した恵実は続けて桜の腕を渾身の力で引いて、後方へ投げ飛ばした。二秒ほどの間、桜の身体は空中で放物線を描き、そして床に背中から落ちた。
「痛っ!」
「お前たちにハイグレ人間にされた人が味わった苦痛はそんなものでは済まない!」
 恵実は一息で吠え、更なる追撃のため桜に肉薄する。これまでに桜に蓄積したダメージは相当なものである。これ以上攻撃を食らっては戦闘不能となりかねない。桜は何とか立ち上がり、防御の体勢を固めようとする。
 だが、既に恵実は大きくジャンプして、駆ける勢いをそのまま乗せた飛び蹴りを繰り出している。これでは防御すら間に合わない。
 そのとき、雫は駆け出していた。タックルによって倒されてからすぐ立ち上がっていた雫は、満身創痍の桜を何が何でも守ろうと、必死に床を蹴っていた。
 ……絶対にやらせない! 絶対にわたしが守る!
 いくら強く望もうとも、雫の思いは叶うはずがなかった。ハイグレ戦士となって強化された身体能力をもってしても、恵実に奇襲することも、桜を回避させることも、桜の盾になることも不可能。恵実の蹴撃を桜に命中させない方法は一つも存在しないのだ。
 それでも、雫は諦めなかった。その諦めない心が、一つの閃きを産んだ。
 ――逆に、恵実が止まれば?
「……止まってぇっ!」
 手のひらを恵実に向けて、神にも祈るような思いで叫ぶ。
 刹那、恵実の――に――が――。すると――し、生じた――に雫は桜の前に――。
 その次の瞬間に恵実は、自分の蹴りが雫に命中したことを知覚する。標的だった桜はその後ろだ。飛び蹴りは雫に両腕を交差させて防がれ、そして受け流しきられた。着地しながら、まさか雫の走り込みが間に合ったのか、と動揺する。
「……感じてないよ」
「何?」
 ポツリと呟く、水色のハイグレ戦士。レンズの奥のおっとりした眼に、強い決意の色が見て取れた。
「苦痛なんて感じてないよ、御堂さん。わたし、桜ちゃんと魔王さまにハイグレ戦士にしていただけて、すっごく嬉しいんだよ」
「雫……!」
 彼女に守られた桜は、その背中を見つめながら言葉を聞いた。恵実は油断なく警戒態勢をとっている。
「こんなわたしが正義のために戦えるのも、あんなに気持ちいいことを知れたのも、全部二人のおかげ。だから――!」
 すると両腕の交差点にピンクの光が弾けた。その現象を見て恵実は慌てて一歩引き下がる。
「今度はわたしが教える番! ――ハイグレビームっ!」
 放たれた光は稲妻のように暴れながらも確実に敵を狙う。恵実は回避不可能と判断し、ピンクの光線と正面から向かい合う。そして、
「アクションビーム!」
 胸の前で壁を作るように腕を平行に構え、先のハイグレビームに酷似した、黄色い光を撃った。二色の稲妻は空中を奔ると激突し、激しくスパークしたのを最後に掻き消えた。
 雫の顔には攻撃が不発に終わったことの不満よりも、ほとんど無意識にハイグレビームを放つことができたことへの喜びと驚きの方が色濃く表出していた。自分の腕を見下ろして、満足げに口の端を持ち上げている。だが、喜んでいるのはそれだけではない。
 ……わたし、ほんとにハイグレ戦士になったんだ……!
 そんな実感が、ようやく心の中に沸き上がってきたのだった。
 対して恵実は苦虫を噛み潰したかのような表情だ。残り少ないアクションパワーを、ハイグレビームの相殺に使わされてしまったのは想定外であった。
 ハイグレ光線に当たったらハイグレ人間にされる――それはいかなアクション戦士であっても同じである。ただ、アクション戦士はアクションパワーを持っている。アクションパワーとハイグレパワーはちょうど正負の関係にあるため、同程度の出力の二つの力をぶつけて相殺することが可能なのだ。アクション戦士はハイグレビームの直撃を食らっても、アクションパワーを身体中にまとうことによってある程度は無効化できる。なおこれはハイグレ戦士にも同様のことが言える。
 しかし、恵実には雫のビームを耐えるだけの十分量が残っていなかった。身をかわすこともできない状況での最善手は、命中するより前にハイグレビームを撃墜することだった。
 何故恵実のアクションパワーが減少していたのか。理由はここまでの彼女の行動の中に、二つある。一つは、美智留、千種、文のハイグレ洗脳を解いて真人間に戻したこと。洗脳もハイグレパワーの効果に他ならない以上は、ハイグレ人間にアクションパワーを注入すれば洗脳が解除されるのが道理である。そしてもう一つ、恵実が姿を消すステルス能力こそ、恵実がアクション戦士となって獲得した固有能力であるからだ。アクションパワーを消費して身体を誰の目からも見えないようにでき、そのまま長時間の活動ができる能力だ。弱点としては一度ステルスを解除すると数秒間はステルス状態に入れないことと、ハイグレ戦士に触れるとハイグレパワーが干渉するからかステルスを維持できないこと――これは恵実もつい先程気づいたばかりである――が挙げられる。
 恵実の心に焦りが生じる。ハイグレ戦士、それも二人の相手をするなどそもそも恵実には荷が勝ちすぎていた。それでも相手が手練でないならば勝機があると考えていたが、予想以上にアクションパワーを消費してしまった。恵実は選択を迫られている。短期決戦で敵を一人ずつ無効化していくか、残るパワーをステルスに使って仲間の助けを待つか。
 ……増援さえ来れば確実にハイグレ戦士の洗脳を解除できる。だが私が隠れている内に、この高校の生徒を襲撃して回るかもしれない。被害が少数ならともかく、千人単位となってはとてもではないが元に戻してはやれない。……ならば。
「あ、また消えた!」
 雫が悔しげに叫ぶ。恵実は次の行動のために、身を潜めてしまったのだ。
「……雫、ありがとう。さっきの言葉、嬉しかった」
 桜は腹回りに鈍痛を覚えつつも、何とか立ち上がって礼を述べた。ハイグレの素晴らしさを忘れてしまった千種が恐慌するのを見て、雫までああなってしまったら、と思った。あるいは万に一つでも、ハイグレの方が異常だと心変わりしてしまったら。しかし心配は杞憂に終わったばかりか、雫はハッキリと「ハイグレ戦士になってよかった」と断言してくれた。こんなに頼もしいことはなかった。
 すると雫は体ごと振り向き、桜を安心させるように微笑んだ。
「あれがわたしの本心だよ。……昨日だってお家に帰ってから、ずっとハイグレしてたの。もうわたし、ハイグレがないと生きていけないよ。だからわたしは、絶対にハイグレを裏切ったりしない。――はいぐれっ!」
「うん……! ハイグレ!」
 これほど忠実なハイグレの下僕、頼れる仲間のことを疑う余地もない。桜は少しでも不安を抱いたことを恥じ、ハイグレ人間としての挨拶を返した。
 雫は顔を赤らめて、話し続ける。
「あのね。わたし、魔王さまや桜ちゃんの力になる。なれると思う。魔王さまの仰っていた固有能力……わたし、分かったと思うから」
「え……!?」
 真っ直ぐに桜を見つめる瞳は自信に満ちている。ならば雫は本当に、自分の能力に気付いたという確信を持っているのだろう。桜は心の中に焦りを覚えたが、そんなことより今は覚醒を喜ぶべきではないかと思い直す。
「次に御堂さんが出てきたら、わたしが一瞬だけ御堂さんの動きを止める。その瞬間に桜ちゃんが攻撃して」
「攻、撃……」
 ……さっき雫がやったようにハイグレビームを出せばいいの? 私に、出来るのかな……? それとも、殴ったり蹴ったりしろってこと? ……ダメ、分からない……っ!
 桜には、ハイグレ戦士としての自信が欠落していた。恵実には散々手玉に取られて一方的にダメージを負わされ、一日遅れてハイグレ戦士となった雫は先にビームを撃てるようになり、固有能力も見極めた。なのに自分はどう動けばいいかも分からない。実際この戦いの間、桜は何も出来ずにいたのだから。
 雫は桜の困惑を察し、声を掛けようとした。だがそれは叶わなかった。
「――させるか」
「っ!?」
 陽炎のように像を揺らめかせて現れた恵実、その腕が雫の首を強く締めあげていた。吊り目を油断なく周囲に巡らせ、雫を引きずって後退していく。
「雫!」
 雫は空気を求めて口をパクパクとさせる。ハイグレパワーの加護も単純な体術には効果が無い。表情を苦しげに歪めてもがき、しかし何かを桜に訴えようとしていた。
 恵実は、雫を盾にするかのように身を屈め、ほとんど桜から隠れてしまう。だが重心を低めたぶん、腕は容赦なく首に食い込んでいく。
「潔く投降しろ、と言ってもお前たちは聞かないだろう。だから問答無用でやらせてもらう」
 首を刈り取る死神の鎌が、バチバチと黄色く発光した。ハイグレ戦士の身体に直接、アクションパワーが流し込まれる。
「う、あぁ……ぁぁ!」
 光の中で、みるみるうちに力を奪われていく雫。腕を振りほどこうとする動きが鈍っている。このままではハイグレ戦士としての力を失うどころか、千種たちのように下劣な人間に戻されてしまうかもしれない。
 ……嫌だ! それだけはさせないっ!
 桜は考える。雫を壁にして隠れる卑怯者に攻撃を当てる方法。こちらの様子を伺うために時々顔を見せる、その小さな的を射抜くには。
 恵実を倒さなければ。その強い感情が、再び桜に"弓矢"を握らせた。以前の学校で弓道部に在籍していた桜だからこそ、攻撃のイメージを脳内で構築する際に無意識に弓矢の形と結びついたのだった。三日月よりも細く弧を描く光の弓を左手に、輝く矢を番える弦を右手に。
 ……そうか、これが私のハイグレビームなんだ……!
 先ほど沙羅を逃がす寸前にも味わった感覚と重なる。ここでようやく、自分の力をはっきりと意識することができた桜であった。
 矢尻をピタリと恵実に合わせて狙い澄ます。彼我の距離は約十歩分。そして心を落ち着けて、
「――っ」
 放つ。矢の形をしたハイグレビーム、ハイグレアローとも呼べるピンク色の光が、ほぼ水平に空を裂いていく。
 恵実はそれを認めて、雫へのパワー注入を中断してすんでのところで回避した。輝く矢は雫の首筋を文字通り間一髪ですり抜ける軌道を描いて、消滅する。
 雫はこの機を逃さない。脱力する身体を奮い立たせ、恵実を探す。こちらを伺いながら駆けて離れているが、姿は見える。よし、と呟き、手のひらを恵実に向けた。
「止まって!」
 そして叫ぶ。それと全く同時に、直径2メートルほどのシャボン玉のような艶めく球体が、恵実をすっぽり包むようにして出現した。恵実は泡の中でも変わらず走り続けているのだが、泡を突き破る瞬間に身体が完全に硬直してしまう。透明な壁にぶつかり、恵実に働いていた慣性を大きく減衰させられたのだ。その影響で、既に踏み出していた一歩の着地点がぶれ、平衡感覚を失ってたたらを踏まされた。
「な、に……っ!?」
 特定の座標に即座に、衝撃を吸収するシャボン玉を形成する――これが雫の固有能力であった。先に桜を恵実の飛び蹴りからかばうことができたのも、泡を恵実に張って勢いを殺し、生じた時間的猶予の内に二人の間に割り込んだからである。
「桜ちゃん!」
「――分かった!」
 雫は仲間の名を呼んだ。それだけで意思は伝わる。桜はすぐさま二の矢を番え、体勢を崩した恵実目掛けて射た。
 ハイグレアローが一直線に、緑のアクション戦士を襲う。命中は免れない。かくなる上は、と恵実は全アクションパワーを防御に回して耐え切らんとする。
「う、ぐぅっ!」
 恵実の胸に深々とピンクの矢が突き刺さった。そこから一気に体内へと流れ込む、強力なハイグレパワー。痺れに似た苦痛を伴い、蝕んでくる。
 ……何とか、耐えられるか……いや、何だこの感覚は!?
 胸元に意識を集中させる恵実は異変に気が付いた。アクションパワーが全く、ハイグレパワーを相殺してくれていない。にも関わらずアクションパワーだけが猛烈な勢いで消滅していっている。まるで、ハイグレアローに吸収されてしまっているかのように。
 ……くそ、このままでは……っ!
 アクションパワーが尽きればアクション戦士も普通の人間と同じ。どうなってしまうかは自明の理。恵実はハイグレアローを抜こうと試みるが、びくともしない。
 何も出来ず、次第に身体中の感覚が麻痺していく。手が矢から離れ、大の字の体勢の如く外側へ引っ張られてしまう。
 ……い、嫌だ! 私はアクション戦士だ! こんな、こんなことがあってたまるか!
 恵実の心が、恐怖に屈した。ピンクの光の向こうでこちらを見つめる、ハイグレ魔王の哀れな奴隷たち。自分は彼女らに負け、同じ姿にされてしまうのだという実感が芽生えてきたのだ。
 加えて、アクション戦士の仲間やアクション仮面への罪悪感も湧き上がってくる。
 ……すまない皆、アクション仮面、私は、もう……!
 しかし、それも束の間であった。ハイグレパワーの侵食はもはや、全身に及んでいた。
 ……ハイグレ人間になどなりたくない! 嫌だ、ハイグレ、など、に……ハイグレ、くそぉ……ハイグレ……ハイグレぇ……。
「――ああああああああああああああっ!」
 一際大きい悲鳴と同時に、スパークの輝きは最高潮に達した。それは周囲の空気をも震わせ、黄色と青色の煙までもが一帯に発生する。
 桜と雫はあまりの輝度に目を眇める。光はすなわち恵実がハイグレアローと戦っていることを示していた。瞼の奥までも届くそれは一分ほど続いたが、悲鳴の尾が途切れるとともに終わりを迎えた。二人はゆっくりと瞼を開き、戦いの結果を確認した。
 そこには、
「ハイグレっ! ハイグレっ! ハイグレっ!」
 元アクション戦士・御堂恵実の、紛うことなき緑色のハイレグ水着姿があった。
 しかしその格好はただのハイグレ人間のものとは違った。桜たちと同じ、ハイグレ戦士のグローブやブーツなどを初めから身につけていたのだ。唯一、首のハイグレストーンこそ無かったが。
 自分のしたことながら、桜は疑問を感じた。魔王さまの助力もないのに何故だろう、アクション戦士を洗脳するとこうなるのだろうか、と。
 だがその考えは、急に抱きついてきた雫によってストップしてしまう。ハイレグ同士が擦れる快感に、一瞬喘ぎ声が漏れる。
「やったね桜ちゃんっ! あの弓、ほんとに凄かったよ!」
「あ、ありがとう。でも、雫が御堂さんを止めてくれたお陰だよ。それに、雫がいなかったら……」
 確実に負けていた、と桜は戦いを振り返る。何とか会得した自分なりのハイグレパワーの制御法だったが、それを活かすチャンスを作ってくれたのも雫だった。二人の協力がなければ、固有能力を使いこなす恵実に勝つことは出来なかった。
 とは言え、結果こそが全てである。
「ハイグレっ! ハイグレっ! ハイグレっ!」
 あれだけの戦いぶりとアクション戦士としての誇りを見せつけた恵実だったが、今や完全にハイグレの虜となっていた。スレンダーな身体にまとったハイレグの鋭い切れ込みを、一心不乱に両手でなぞる。真剣な表情ではあるが、その度に得も言われぬ快感を味わっていることは頬の紅潮から明らかだった。ハイグレ魔王の下僕に相応しい姿を、桜たちに見せつけるようにハイグレポーズをし続けている。
「これで御堂さんもハイグレ人間……ううん、ハイグレ戦士になった、のかな」
「御堂さんが一緒に戦ってくれたら百人力だよね。もし他にアクション戦士が来てもわたしたち、負けない気がする」
 雫が自信満々に言い切った、そのタイミングで。階下、いや、正確には柵の向こうから空気を切って何かが上昇してくる気配があった。
「恵実……!? ごめん、間に合わなくて……」
 悲痛に歪めたその顔、その声に、桜と雫は弾かれたように視線を上げた。そうして宙に浮かぶ、深青色のコスチュームを装備した人間を見るや、腰を抜かさんばかりに驚いた。
「嘘でしょ!?」
「そんな、まさか……!」
 彼女の出で立ちは、正に数分前の恵実のものと色違いの衣装。つまり彼女は青のアクション戦士、ということに他ならない。青のアクション戦士は「でも、何でハイグレ戦士の姿に……」と納得行かないかのように呟いてから、目を剥くピンクと水色のハイグレ戦士を見下ろした。三者の視線が交錯する。
 と、桜と雫は突如、激しい疲労感に襲われた。運動の最中には興奮のために感じなかった疲れがどっと押し寄せる、あの感覚だ。しかしハイグレ戦士の味わうそれは、少々異質なものだった。
「か、身体が、勝手に……ハイグレ、ハイグレ、ハイグレ……!」
「こんなときに、どうして……? はいぐれっ、はいぐれっ、はいぐれっ!」
 二人に重くのしかかったのは、逆らい難いほどのハイグレ欲求であった。戦闘で体内のハイグレパワーがひどく減少していため、それを補わんとするハイグレポーズ。人間に睡眠や水分が足りない場合と同じように、ハイグレ人間も最低限のハイグレパワーがなければ健常ではいられないのだ。ただ、それさえあればハイグレ人間は、人間に必要なその他の要素をほとんど摂る必要はないのだが。
 無防備なハイグレポーズを敵の前に晒す、ハイグレ戦士たち。この状態で青のアクション戦士に攻撃されたらひとたまりもない。二人は何とかポーズをやめようとするが、本能には逆らえない。
「ハイグレ! ハイグレ! ハイグレ!」
「はいぐれっ! はいぐれっ! はいぐれっ!」
 青のアクション戦士が構えを取ろうとする。しかしそれより早く耳に仲間からの連絡が届いたようであった。
「……うん。分かった、すぐそっちに行くよ。それまで絶対に持ちこたえてて」
 彼女は通信を切ると、空中で百八十度向きを変え、吐き捨てるように呟いた。
「ったく、アタシはホントに無力だよなぁ……。友達も、同級生も、仲間も全然救えないんだもん」
 両の拳を強く握りこむ。それだけで怒りや悔しさに打ち震えていることが容易に分かる。
 そして彼女はもう一度首だけを、ハイグレ戦士たちに向けて言い放った。
「でも、最後には正義が勝つ……ちゃんと覚えててよね、桜、雫」
 二人がハイグレポーズを続けながら仰いだ視線の先で、青のアクション戦士――間室沙羅はポニーテールをたなびかせて空の彼方へと飛び去っていった。


Scene3-1:陥落に続く*



一年ぶりに執筆を再開するにあたって、設定を少し深く練り直しました
結構設定が変わったキャラがいます。特にアクション戦士側に
と言っても前回までにあからさまなアクション戦士の描写は恵実以外にありませんでしたから、読んでいる分には大した差はないと思います
とりあえずはここから戦闘ですね。久々にアクションを描写することに、今からちょっとワクワクしております
ところで本当に今更思ったのですが、「桜(さくら)」と「沙羅(さら)」のネーミング被り、やらかしてますね……。何故こんなに似てるのに気付かなかったし。もうこのまま行くけどさ

リクエストコメについて
前回の記事等にコメントを下さった方々、ありがとうございました
拙作(のいずれにせよ)を心待ちにしてくださっている方がいるということは、本当に励みになります。アイデアを捻り出した甲斐があったと、時間を掛けて執筆した甲斐があったと、強く思えます
しかし、コメントの内容が特定の作品を指している場合だと、こちらとしても一瞬対応に困ってしまうことも事実です
何故なら、それに応えて続きを書けば、更に多くの続編要望が来てしまって追いつけなくなるかもしれません。逆にコメントに応え(られ)ないと、こちらとしてもコメ主様に申し訳なくなってしまいますから
今回については、結果的にとっしーさん(12:35)のリクに応えたような形にはなっていますが、『最近書いたアレや、一年近く更新の止まったアレなんかが、書き進める候補ですね』と書いた時点で候補三つは心に決めていました。なので正直に言いますと、リクに応えたというつもりで書いたわけではありません。また、これから書く予定の二作品についても同様です
なので今後も同様のコメントが寄せられた場合には、このようにさせていただきます。というか今までもこうしていますので、この際明らかにしておきます
(1)何度も拝みまくってから何度も目を通す
(2)その作品を待ってくれている方が居るのだということを肝に銘じる
(3)自分の書きたい作品を書く
ということで、既存の作品の続きを求めるコメントについては全てが通るとは限りませんので、済みませんがご了承ください。もちろん、ある程度は参考にさせていただきますが
ただ、一度書き始めた作品は、時間がどれだ掛かろうとも必ず全て完結させます。気長に焦らずお待ち頂ければ幸いです。何卒よろしくお願い致します

前回のBGMについて
結構ご好評いただけているようで良かったです
改めて聞き直すと、少なくとも五ヶ所修正したい箇所が見つかりましたが……直すことは出来るんです。ただそれをまた録音してMIXして録画して動画に合わせてキャプション付けて投稿し直す、という工程をし直すのが億劫なんですよね……
出来は完璧ではありませんが、曲とともに偉大な原作映画様に思いを馳せていただければ、と思います
……トップページから記事が消える頃になったら、リンク集の中に貼っておこうかな


ではそんな感じで
Scene2-3の続きは、あまりお待たせせずにお届けできるかと思います
【2015/08/04】




何とか終わらせることが出来ましたScene2-3、いかがでしたでしょうか?
久しぶりのアクションシーン、それも特殊能力付きということでしたが……うーん、やっぱり難しかったです
文字で戦闘をリアルタイムに描くのは、実際結構な文章力が必要になります。もっともっと精進せねば……!

今回、久々に洗脳解除要素を入れられました。『アクション仮面vsハイグレ魔王 Side:LAB.』『カメラが捉えた洗脳の瞬間、そして』でも登場させましたが、やっぱりいいですね、これまでハイグレに染まっていたことを恥じたり後悔したりするさまは。しかも今回は上二作と異なり、洗脳中の記憶は完全に残っているという設定なので、そうした思いは相当強いものでしょう。特に率先してハイグレ人間を増やしてしまっていた千種なんて、元々がまともな人間ですので自分の行いに絶望してしまうはずです。もちろん美智留と文も心の中はグチャグチャになっています
さて、そんな彼女たちを再洗脳したならば、どのような表情を見せてくれるんでしょうかね?

次章に「続く」ということにしましたが、次のエピソードはこの直後からの話となるため、その部分はScene3ではなくScene2-3の続きとしてこの記事に追記するかもしれません。が、しないかもしれないのでとりあえずはここで区切っておきます
次話は第一高校洗脳編、という感じでしょうか。しかし長々やるわけにもいかないので、千種たちの再洗脳がメインとなる予定です
その後は遂に、>>2さんのレス『ハイグレ戦士になった女の子が手引きしたことにより 平和な町が一気にハイグレ星人によって蹂躙され鉄道などの公共機関がマヒ状態に陥り 町の人達が右往左往しながらハイグレにされていく』シーンに入れると思います。……既に話の主軸がハイグレ戦士vsアクション戦士の方向になってしまっており、オマケ的に感じられてしまうかもしれませんが……

設定の練り直しについてもう少々ネタばらししますと
そもそも一年前の段階で、桜の「弓を使った攻撃」、雫の「泡で一瞬動きを止める」、及び未だ登場していないアクション戦士たちの固有能力については設定を固めていました。桜については初っ端に「弓道部」という設定が明かされていたはずです
大きく変わったと言えるのは恵実です。恵実の初期案での能力は桜に似たアクションパワー系のものでした。しかしScene2-2末尾で身を潜めている場面を書いたのもあり、身を隠せる理由付けのためにステルス能力へと変更させました。お陰でアサシン的なキャラ付けができて、今回の物語を上手く動かしてくれました
あとはもう一人いるのですが……察している方もいるかもしれませんが、そうでない方もいるかもしれないので、まだ秘密にしておきます。今の時点でわざわざ明示するのは少し早いかなと思うので

あっ、そうそう、弓と言えば(露骨な話題そらし)
0106氏のSO3小説中でも、『ハイグレアロー』という単語が出ていますね。いやぁ偶然偶然、こんな近いタイミングで似たネタを扱うことになろうとは
そしてもう一つ、氏はこんなことも仰っておりました
フラッシュモブを題材にハイグレSS一本書いてみたいなぁ、みたいに考えていた時期があったんですけど、似たような事を既に未洗脳者にやられてしまっていたんですね。
――あ、危ねぇぇぇぇっ! ネタ丸被りするトコだった!
正直、短編ネタの一つとしてフラッシュモブをストックに入れていましたので……
でも目の付け所が折角被ったのだから、これをお題にして書いてみるのもどうでしょう、なんて勝手に思ったりしちゃったりして。だって絵師さん方のリク交換とかお題合わせとか、見ててちょっと羨ましいんですもの。SS書きも何かしたいやん!
ということで誰がどうとか関係なく書きます、フラッシュモブ短編。これを読んだSS書きさんまたは興味のある方、もしお暇でやる気がありましたら共通のお題で短編を書いてみませんか?
……ただ自分が書くのは、早くてもこの次の次の更に次になると思いますが

次とその次は、予告通り過去作の続きを書く予定です
『転校生~』ともう一つ、ほぼ一年更新出来ていない作品があるじゃないですか。あれもそろそろ、終わらせたいんですよね
『転校生~』や『小学生~』はキャラ設定を比較的細かく考えていたので、再開するときのハードルが低かったのです。しかしアレの場合はシチュエーション先行型だったため、キャラ関係を改めてもう一度理解し直さねばならず、労力が掛かりそうなのです。それがなかなか再開させられない理由でした。確か一度書くと言っておきながらなあなあにして流してしまった記憶があります
でも、今度という今度は書きます。最終更新から丸一年の日に間に合う保証はありませんが、近日中にはきっと公開します

こんな無計画なマイペースに毎度毎度お付き合い頂きまして、本当に恐縮でございます
ではでは、また次回お会いしましょう
【2015/08/11】

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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

tag : 転校生はハイグレ戦士 リクエスト

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No title

香取犬さんupありがとうございます!!

自分のわがままな催促に応えて下さって本当に感謝です。

自分としても急かすつもりはまったくないので、これからもマイペースで、無理なく更新しちゃってください!

これからも同じハイグレファンとして応援してます☆

No title

おハイグレー
なんか噂されてるような気配を感じたので遊びに来ちゃいました(`・ω・´)ノ

戦闘描写、難しいですよね……私も現在進行形絶賛苦戦中です。ラノベが盛大にやらかしてるのを見るにつけ、肉体と肉体がぶつかり合うようなダイナミズムを表現するのに文字は不得手なんでしょうね、という周回遅れの事実を目の当たりにしちゃいます。

共通のお題で短編、面白そうですね! 私もスタオーSSがあるので即応するのは難しいけど、絵師さんに対抗してイベントめいたコトやってみたいですー
オリジナル・二次創作を問わず割と書きやすい題材だと思うので人が集まるとイイナァ、と思いつつ私の方でもイベント開催の有無を問わず書くためにもったり構想練りしておきますー(`・ω・´)ノシ ということでではではー

No title

更新お疲れ様です!

今回も面白かったです!
読んでいて、あれ?何の小説読んでたっけ?と思いましたが……。
それにしても、敵側も固有能力も洗脳解除要素も出てきて、これから白熱する予感……!
楽しみですね!
今回洗脳解除されてしまった人たちがどうなってしまうのか……個人的には洗脳解除されても人間側からハイグレ側に寝返るキャラがいても……っていうか、あれ。
読み直していないので詳しく覚えていないのですが……洗脳されていた人達の家の人たちって……どうなってるんでしょう?特に千種さん。

あ、次は別のやつを書くんですよね?
……これも読みたい。読みたい……けど!他のも読みたい。ジレンマですね。
ともあれ、趣味である以上は香取犬さんの自由に書くのが一番ですし、次の更新も楽しみにしています!
……あれ?前にもこんなことを言ったような気が……まぁ、いいですよね。

それでは次回も頑張ってください!

No title

はじめまして!香取犬さんのハイグレ小説をいつも楽しく読ませて頂いてます。

 自分も小説王国のほうでハイグレ小説を書かせてもらってますが、香取犬さんの洗脳に至るまでの描写が素晴らしく勉強させてもらってます。

 今回の話では最初のアクション戦士側の犠牲者が出ましたが、変身ヒロインがハイグレ洗脳される過程は格別ですね!
 先輩キャラ&白ハイグレ好きの自分としてはアクションホワイト(おそらく百合先輩?)の戦闘&洗脳シーンが待ちきれないほど楽しみです。
 また、不躾ながらアクションホワイトの衣装についてリクエストさせて下さい。先輩という役柄からホワイトがアクション戦士のリーダーだと思うので、特別なコスチュームとしてタイツではなくミニスカのアクション戦士という設定はどうでしょうか?
 純白の下着をチラチラさせて必死に戦いつつも、最後には下着や衣装と同じ白色のハイレグを着せられてしまうという要素に萌えてしまうのです(まぁ単純にミニスカ変身ヒロインが好きなだけなんですが)。
 続き楽しみにしてます!頑張ってください!応援してます!

Re:

『帝後学園の春』最終更新の後に書き始めたため、同時更新ではありませんので悪しからず

>とっしー氏
読んで頂きこちらこそありがとうございます
こちらも催促されたなどとは一切思っていないのですが、念の為と思って少し意地悪な書き方をしてしまいました
いずれ必ず書き上げますのでお待ちくださいませ


>0106氏
いらっしゃいませですー
>戦闘描写
そうなんですよね……。ラノベという、キャラが派手に暴れまわる文章のプロですら、アクション描写には四苦八苦していますし。アマなら言わずもがなです
三○賞の受賞歴のあるガチの小説家とお話したことがあるのですが、その方はすっぱりと「文章で殺陣を書くのは無謀」と仰っていました。ただ、全否定をしているのではなく、「小説でアクションを描くのは、映像作品とは異なり文章だけで読者の想像力を掻き立てねばならないため、相当の文章力が必要になる」という意味での言葉です
けど、それを踏まえた上でも表現したいことがあるからこそ、自分は頑張れます。0106さんもきっと心は同じだと思います

スレで気軽に画像をペタリできる絵師さんはいいなぁ、と思ってしまいますね。あと絵は名乗らずともタッチで誰か分かりますし
現段階では、小説王国で"(参加自由)"でスレを立てたら集まってくれるかな、という感じで考えています。まあまだもう少し先になりそうですが
勝手にブログから引用したうえ書いてくれるとなったら、本当に恐縮ですが素直に嬉しいです。SO小説の片手間、気分転換以下の感じで書いていただけたらと思います。変に脇道に力を入れてしまうと、自分みたいにあっぷあっぷしてしまいますしね
ではでは、0106さんも執筆頑張ってください


>ハイグレ人間T氏
度々どうもですー
>何の小説読んでたっけ?
確かに本作はハイグレ小説というよりむしろ、(ダーク)ヒーローものになってしまいました。今後も含めて、悪と正義の組織の戦いが話の主軸になりそうです
それでもなるべくハイグレ小説らしさを忘れずに進めていきたいと思っています。次はちゃんと生徒を洗脳しまくりますしね

>洗脳されていた人達の家の人たち
風呂敷、というか舞台を広げすぎると収集が付けられなくなるおそれがあったので、実は家族関係はやや意図的に書かないようにしていました

桜は作中二日目(Scene2-1,2-2)で雫を洗脳した時点で、他人を洗脳できるようになっています。が、そのときに「洗脳には大量のハイグレパワーを必要とする」と気づいたため、どうせいつでも洗脳できる家族のことは後回しにしています
雫は、三日目(Scene2-3)のグリーン戦中にようやくハイグレパワーの扱い方を習得したので、まだ家族を洗脳してはいません
ただし二人とも当然、家族に隠れてハイグレポーズは行っています

千種は、作中から二週間弱前の時点で駄菓子屋に一人招かれ、ハイグレ戦士となる洗脳を受けましたが、資質が足りずただのハイグレ人間となりました。その後、文と合流、屋敷に帰宅。そうしてまずは文を撃ち洗脳してから、千石邸の人々(大地主である父と母(兄弟は無し)、それから保倉の家系をはじめとする使用人達)を次々ハイグレ人間化させていきました。翌日から始めた複数回の"お茶会"で5人程は洗脳済みで、何くわぬ顔で学校生活を送っています(その家族は光線銃で撃たれているかもしれませんが、町全体でもハイグレ人間の数はまだまだごく僅かです)
その記憶が全て、洗脳を解除された時点で罪悪感に変換されたわけですね
このまま千種が家に帰ると「お嬢様! なぜハイグレを着ていないのです!」的なことになって再洗脳されますね。だからもう家には戻れません
……が、そんな帰宅後の心配が必要になる展開にはならない予定です
とまあこんな感じになっておりました。なお、これらはあくまで現段階での裏設定なので、今後本編では訂正される可能性があります、と添えておきます


>ハイグレ騎士氏
はじめまして、アクションヴァルキリー大好きでした(ド直球)
個性的な敵役や、早いうちから主人公がハイグレフェチ化してしまうことや、二転三転する展開(分岐エンドは拙作でも真似させていただきました)は読んでいて本当にワクワクさせられました

>変身ヒロインがハイグレ洗脳される過程は格別ですね!
ですねぇ
必ず悪を打ち倒そうという強い意志を持ち、そしてそれを可能にしてくれるコスチュームを纏う、そんな変身ヒロインが無様にも思考から衣装まで悪の手先に成り果てる……ほんと素晴らしいです(ここまで言うと悪堕ちの領域っぽいですかね)
うちの恵実ちゃんにはこれから、ハイグレ戦士の仲間となってバリバリ働いてもらう予定ですのでお楽しみにー

で。リクの件ですがその前に一応、ここから先は本作のネタバレ注意で。



>アクションホワイト(おそらく百合先輩?)
あー……バレました? いやまあ最後まで読んだ後に冒頭を読み返せば一発で分かるようにはしましたけど
彼女、雲仙百合はこの町で初めてアクション戦士に選ばれた少女です。それからアクション仮面と協力し、数人のアクション戦士適格者を探し出し、今に至っています。その最中、ハイグレ人間と戦うこともありましたが、一度も光線を喰らわずに確実に洗脳を解除していった強者です
そんなホワイトの固有能力はとても強力です。その能力に関わる設定にも利用させられそうな気がするので……リク採用!
……しかしそうすると、一人だけコスチュームが違ってしまうのが非常に気に掛かるのですが……ああそうだ、こうしましょう

アクション仮面「ワーッハッハ! 君をアクション戦士に任命しよう! これがコスチュームだ!」
百合「きゃあ! こ、こんなミニスカートで戦いをするのですか!?」
仮面「女の子なのだからそのような格好が良いと思ったのだが?」
百合「こんなの、周りの目を意識してしまってまともに動けません!」
仮面「ふむ、仕方ない。では二人目のアクション戦士からは私のようなタイツ姿にすることにしよう。だが、キミのコスチュームはもう変えられん」
百合「そんなぁ……」
仮面「スマンな百合クン、健闘を祈る! ワーッハッハ!」(ドヒューン
 ※あくまで現段階での裏設定です。特に百合の口調とアクション仮面の思考能力はここまで軽くしないと思います

アクションヴァルキリーに度々登場していた純白パンツにはきっとこだわりがあるのだろうと思っていましたが、まさかこれほどとは。その期待を裏切らぬよう、頑張ってチラリーノさせてみましょう
ただ、そもそも彼女を本編に登場させるまで書き進めないといけませんが……!
プロフィール

香取犬

Author:香取犬
ハイグレの洗脳を受けて早幾年
遂に自らハイグレ小説を書くようになってしまいました
いつでもネタ募集中です
酉◆RYenwqtp9Y

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 →変わりゆく若人たち
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