【インスパイア】おねショタだと思った? 残念、ショタおねでした!【完全版】

今週のフェスティバルに唖然としつつもお蔭で創作意欲をバーニンさせることが出来ました。香取犬です
何とかスレ寿命中に書き上がりましたので、以前もお邪魔させていただきました、ハイグレ人間C氏のスレッド『ハイグレ短編集(参加自由)』に先ほど短編SSを投稿しました

おねショタだと思った? 残念、ショタおねでした!』(No.7-8

タイトルにそれほど深い意味はないので気にしないでください

インスパイア元レス……と言うと正直大げさですが、おねショタ系統で何か書いてやろうと思い立った切っ掛けはこちらのレスです
としあき 15/05/17(日)20:17:44 No.20308722
何事も受動態より能動態ですよ!

さて、とりあえず短編が完成したわけですが、前回同じスレッドに寄稿したとき(上記スレッドNo.2参照)のブログでも書いたようにやはり今回も小説王国の仕様のために泣く泣く中身をガッツリ削っています。特に物語序盤。他にも少々あとがき的に語りたいこともあります
そこで明日……じゃなくて今日ですね、5月20日中に、『ショタおね』完全版を当記事にて公開しました!

続きを読む」から御覧くださいませ

(あとがきまでジャンプする場合はこちら



 遂にこの小学校には、人間は一人もいなくなっちゃった。
「「「ハイグレ! ハイグレ! ハイグレ!」」」
 でも、僕は頑張ったんだ。頑張って逃げて逃げてずうっと逃げて、だけど皆に追い詰められて……最後にはあの光を食らっちゃった。
 僕は負けた。その証として僕は黄色一色の、皆とおんなじハイグレを着せられた。恥ずかしくて、悔しくて、惨めで――すっごく気持ちいい。
 ……ごめんね、お姉ちゃん。僕……もう……!
「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」
 僕は笑顔の仲間たちの前で、全力であのポーズを繰り返した。
 僕はもう、ハイグレ人間の充也なんだ……!

   *

「ウチのことはいいから行って! 友梨佳ぁっ!」
「っ、須美!?」
 ドンと思い切り突き飛ばされた私の背中の後ろで、電車のドアが空気音と共に閉じた。振り向くと、ガラスの向こうで涙を流しつつ無理に笑顔を作っている須美は、ハイグレ人間たちに羽交い締めにされるだけでなく、こめかみに光線銃を突きつけられているのだった。
 私は須美の名を叫びながら、手よ壊れろ扉よ開けと、二人の間を邪魔する数センチぽっちのバリアを何度も叩く。だけど当然それは叶わない。そして車両が動き始める一瞬前、電車の乗客たちは須美を同じ乗客として相応しい姿に変えてしまった。
「須美ぃぃっ!」
 ガラス越しにも強烈な光に包まれた須美の表情が怯えから苦痛に変わり、彼女の上半身の衣服も制服のブレザーからタンクトップの形になっていく。言うまでもなく、下半身は鋭いV字のハイレグ水着だろう。悲鳴は、走りだした電車の駆動音のために聞こえなかった。
 私は堪らず、駆けて電車を追おうとする。でもそれが出来るのは、ホーム上が安全で人が少ないときだけなのだ。今やこの駅のホームは、遅延電車の到着を待っていた人々と彼らに銃を乱射する電車から降りたハイグレ人間たちとのせいで、大パニックになっている。そこかしこでフラッシュと悲鳴と、ハイグレコールが上がっている。
 幸いにも私の降車した扉からは須美のお陰でハイグレ人間は出てこなかったし、改札口に直通の階段が目の前にある。階段が人であぶれて将棋倒しに巻き込まれる事態を想像して、私は後ろ髪を引かれる思いでホームを後にした。
 定期券など使う余裕もなく人波に押されて改札を潜り、駅を出る。駅前の見慣れた商店街は、駅から漏れでたパニックが伝染しつつはあったものの、とにかく現時点ではまだ無事だった。私は自分の町にまだ奴らが来ていない安心感と、まもなく奴らに蹂躙される絶望を同時に覚えながら、人々の間を縫うように駆け抜けた。
 向かう先は当然我が家。幼馴染だけでなく、家族まで失いたくはない。再会して絶対に一緒に逃げなくちゃ。
 都心へ仕事に出ている両親とは連絡がつかなかった。最後の希望はたった一人の弟――真面目で素直な、小学5年生で7つ年下の充也――みっくんだけ。小学校は駅からは家を挟んで正反対の方角だから、落ち合うにしても家が一番都合がいい。この町にまだハイグレ星人の手が伸びていないのなら、きっとみっくんも無事なはず。そうは思うけれど、妙な胸騒ぎは一向に止まらなかった。
 私は心臓の痛みも無視して、必死に足を動かした。
 ……ハイグレ星人の襲来を知ったのは今日のお昼ごろ、高校の教室で授業を受けていた最中だった。隠し見ていたスマホの通知が俄に暴れだして、同時に校内放送で緊急下校措置が伝えられた。授業が潰れて喜ぶ人もいたけれど、私は家族が心配でならなかった。そして幼馴染の須美と共にぎゅうぎゅう詰めの電車に乗り込み、もうすぐ下車駅に着くというところで――パンスト兵が電車と並走しつつハイグレ光線を窓越しに何発も撃ちこんできた……。
 さっきまでの光景が脳裏にフラッシュバックして、十数分前の恐怖が身体を通り抜けた。運が悪ければ私も……いや、運が良かったからこそ私は難を逃れられたんだ。あんな思い、みっくんには絶対にさせたくない。そのためにも一刻も早く会わなければ。
 お願いみっくん、先に家に帰っていて。そしてお姉ちゃんと一緒に逃げよう。……どんな顔で、何て言って連れだそう。制服は着崩れて息も絶え絶えに、しかし何とか家の前の通りまで辿り着いた私は、心の中でシミュレーションをする。
 考えた結果、聞き分けの良いみっくんならどう説明しても理解してくれるはず、だから包み隠さず全て話そうと決めて、私は扉に鍵を差し込んで、捻った。
「ただいまー……っ!」
 私の目が捉えたのは、玄関にきちんと揃えられていたみっくんの靴。間違いない、みっくんがいる! 喜びに口元が緩むのを気に留めず、靴を急いで脱いでリビングへ走りこむ。
「みっくんっ!」
 しかし、そこには誰もいなかった。ただしTVは点いていて、ハイレグ姿の女性キャスターがハイグレ人間だらけのビル街をリポートする、悪趣味な特番が垂れ流されていた。どうせどこのチャンネルもこの有り様なんだろうから、内容はどうでもいい。はっきりしたのは、やはりみっくんは家に居るということ。
 安心感が胸に満ちる。それでも早く元気な姿を見たいと、私は「みっくん! どこっ!」と叫びながら、一階を捜索した。キッチン、風呂場、トイレ……しかし見つからない。だとすると二階の私たちの子供部屋でほぼ間違いない。
 そう考えて、玄関から伸びる階段へ向かおうと廊下に出た瞬間。
「お姉ちゃん、おかえりー」
「みっくん!」
 階上から男の子の――みっくんの声がした! 私は階段の下に慌てて駆けつけて、みっくんを見上げた。
 ……そこには、黄色のハイグレ人間が一人いた。
「う、そ……」
 信じていたのに。みっくんはハイグレになんかやられてないと、信じてたのに。
 驚愕と絶望で言葉が出ない私に、みっくんはいつも通りの微笑みで語りかけてくる。
「あれ? お姉ちゃん、まだハイグレ人間じゃないの? いけないんだよー、そんな服着ちゃ」
「何、言ってるの……? みっくん、冗談だよね? まさかみっくんまで、そんな……」
 つるんとした剥き出しの足を動かして、一段一段下りてくるみっくん。私は目の前の光景が認められなくて、掠れた笑い声を漏らした。
「そんなって何? 僕のカッコ、どっか変かな」
 みっくんと私の目線が一度並ぶ。それからみっくんが階段を下り切ると、逆に私を見上げるようになる。私の懐まで踏み込んで大きな瞳で上目遣い。その吸い込まれるような黒色に私は怯えてしまい、扉際の三和土まで後ずさる。
 それを見てみっくんはがっかりした表情をして、両足をガニ股にした。
「あーあ。お姉ちゃんが帰ってきたら、一緒にハイグレしようと思ったのになぁ」
 そして、
「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」
「あ……あぁ……!」
 私が一番見たくなかったポーズを三度した。黄色で薄手のハイレグ水着は、まだ女の子とさほど体格の変わらないみっくんの身体にはぴったりと似合っていた。綺麗な手足も、平らな胸も、ちょっと膨らんだあそこも、正直言えば可愛らしかった。私の自慢の弟だった。
 それだけに、あの変態みたいな動きと訳の分からない単語を笑顔で連呼する姿には、目の前が真っ暗になるような心地がした。みっくんがハイグレ人間になってしまったことを、心だけは頑なに受け入れまいとしているのだ。クイックイッと水着の線を手でなぞる動きは、疑いようもなくハイグレ人間のそれなのに。
 私には家から逃げるという選択肢もあった。けれど、どんな形であれ再会したみっくんを置いて一人で行く選択は、私には出来なかった。
 そしてみっくんは私の視線を受けて笑ったまま、
「――だったら、僕がお姉ちゃんをハイグレ人間にしちゃえばいいんだ」
 どこからかピストルサイズの光線銃を取り出して、両手でまっすぐ銃口を私に向けてきた。須美の苦しむ姿が思い出されて、息が詰まる。
「……っ!」
「いいよね、お姉ちゃん? 僕とハイグレしてくれるよね?」
 私も、あれを着るの? あんなピチピチで裸同然の、信じられないくらいきついハイレグの水着を。想像するだけで身体がキュッとなる。
 しかもそんな姿で、電車や駅やTVや、そして今しがた見たような恥ずかしいポーズを延々とさせられるなんて。そのことを、疑問にも思わないよう洗脳までされて。
 私は問いに返事もできず震え上がる。みっくんが最早、みっくんの顔をした可愛い悪魔のように見えてしまったから。
 ……でも、もしかしたら。一縷の望みにかけて、ゆっくりと懇願の言葉を紡いだ。
「みっくん……お願い……。元の優しいみっくんに、戻ってよ……!」
 みっくんは体勢を変えずにキョトンとする。私は続ける。
「みっくんは、誰かをいじめるような子じゃないよね? 嫌がることを人に押し付けるような、悪い子じゃないよね?」
「……う、うん」
 コクリと、確かに頷いた。通じたんだ! 私は「じゃあ!」と言おうとして、しかし先に遮られた。
「けどハイグレは、みんなすっごく楽しくなれるんだよ! お姉ちゃんでも、絶対!」
 強い確信を持ったみっくんの言葉が、更に繰り出される。
「ホントは僕ね、小学校にハイグレ星人が来たとき、すごく怖かった。友達がいっぱいハイグレ人間にされちゃって、お父さんお母さんお姉ちゃん、みんな無事かな、って思った。僕もビビッてされて、ハイグレ人間になっちゃうの嫌だったから、頑張って逃げたんだよ」
 私と同じだ。だけど、結果は正反対だ。
「僕、最後まで残ったんだ。だって僕、鬼ごっこは得意だもん。……でもやっぱり、あんなに鬼多かったから逃げられなかった。最後には逃げられなくなって、撃たれてハイグレ人間にされちゃった。――でも、それで分かったんだ。皆が皆をハイグレ人間にしていった理由。それはね、ハイグレするのが最高だから!」
「さい、こう……?」
「うん! ハイグレ着てね、こうやって、ハイグレ! ってすると、身体中すっごく気持ちいいんだよ! それに皆ハイグレだから恥ずかしくもないし、皆でハイグレするともっと楽しくて、幸せな感じになれるから! だから、ハイグレじゃない人にもハイグレの良さを教えてあげたくなるんだって」
 うっとりした表情で、ハイグレの良さを熱弁するみっくん。私は反論する言葉を持っていなかった。そんな私自身が不甲斐なくて、思わず一筋の涙が零れた。扉に背中とお尻をくっつけて、ふらつく足を何とか支えた。
「……僕も同じだよ。お姉ちゃんの怖いって気持ち、僕もそうだったからよく分かるよ。けどそれなら、僕と同じでハイグレ人間になれば楽しくなれるってことだよねっ!」
 自信満々に、みっくんは改めて私にハイグレ銃の照準を合わせる。もう何も語る気もないし、聞く気もないという雰囲気だった。
 いくらなんでもこんな説得でハイグレ人間になってもいいと思う私じゃない。だけど、みっくんを正気に戻そうという意志を折るには、それは十分すぎた。
「みっくん……っ!」
 弟の名を呼ぶ。普段なら「何?」と首を傾げてくれるのに、ハイグレ人間のみっくんはもう返事もしてくれない。代わりに人差し指が引き金に掛かる。
 私ももうすぐハイグレ人間にされるんだ。逃れられない重い予感に額には脂汗が浮かび、息も浅くなって酸欠状態になっていく。
 辛いよ、苦しいよ、怖いよ、嫌だよ……。
 ……助けて……!
 誰にともなく祈った次の瞬間、私はみっくんの銃から一直線に飛んできた光線に撃ち抜かれた。
「きゃああああああああっ!」
 形の無いピンクの衝撃が全身を包んで、磔にされたかのように勝手に手足が大の字に広がった。頭の天辺からつま先までを痺れ、でなえれば焼け焦がすようなジリジリバチバチとした感覚が襲いかかってきた。ほとんど残っていなかった肺の空気は全て悲鳴として吐き出され、私の中身という中身が一度全て空っぽになってしまう。
 そして大きく吸い込む、ピンク色の空気。恐ろしい光を身体に取り入れてしまうと、私の心臓はドクンと脈打った。空気が全身に染み渡っていく。得体のしれない何かと一緒に。その心地にハッとして瞼を開くと、視界には黄色のハイグレのみっくんが飛び込んできた。ピンクの光は、もうすっかり消えていた。だけど、代わりに、
「ぃ……やぁっ……!」
 いきなり局所的に猛烈な、全身に適度な締め付け感が襲いかかってきて声が漏れた。それを感じた部分を思い描いてから見下ろすと、想像通りの形をした水着が突如として現れて私の身体を包んでいるのだった。桜のように薄いピンク色の生地が、ピトリと肌に吸い付いている。膨らんだ胸の形もへその窪みも、私の身体の凹凸を全部強調するかのように。そこには制服も下着も、初めから着ていなかったかのように消えていた。
 顔がカァッと沸騰するのが自分でも分かった。見られたくない二箇所を、慌てて腕で隠した。そんな自分の行動に、我ながら違和感を覚える。別にみっくんに裸を見られることなんて、恥ずかしくも何ともないはずなのに。だって、みっくんとは今でも時々私から誘って、一緒にお風呂に入ってるんだから。
 じゃあ何で隠したの? モジモジしつつ自問自答して導き出した答えは一つ。ハイレグ水着の存在だ。
 可愛らしい色をしながらもえげつない急角度で股を締め付けるハイレグが、恥ずかしい。こんな変態みたいなの好きで着てるんじゃないんだから! ……そう自分に言い訳する心が、余計にハイレグを意識させて恥ずかしくなっていくのだ。でもその気持ちを抑えるなんて出来ない。私もみっくんたちと同じハイレグ水着を着せられちゃった、それは紛れもない事実だから……。
 試しに左の肩紐をずらそうとする。柔らかい布地のはずなのに、何故か紐はその場を固く離れようとしなかった。ハイレグを脱ぐことは不可能だった。
 ふと、みっくんの穏やかな視線に気付いて更にいたたまれなくなった私は、その場でしゃがみこんで身体を隠した。けど、
「ひぁぁ!」
 頼りないほど細い股間の生地が、しゃがむのに合わせて伸縮する。丁度するりと撫で上げられたようになって、背中がピンと跳ねた。うぅ、みっくんに変な声、聞かれちゃった……!
 恐る恐る再びみっくんを見ると、心配そうにこちらに手を伸ばしてくれていた。
「お姉ちゃん、大丈夫?」
「う、うん」
 それを掴み、タイミングを合わせて立たせてもらう。また同じ部分が擦れて声を上げそうになるのを、今度は喉の奥で押し殺す。
 今のやりとりで普段のみっくんの姿が垣間見えたから、わたしも少しは落ち着けた。と言っても、ハイグレを意識しないようになんか出来ないけれど。
 みっくんと私、同じ女の子の水着姿で玄関で見つめ合う。ひどく現実離れしたシチュエーションなのに、何故かそういうものだと思える気もした。三和土のセメントの冷たさが、裸足の裏から伝わってくる。
 沈黙を先に破ったのは、みっくんだった。
「お姉ちゃん」
「な、に?」
「……僕と同じ、だねっ」
 みっくんは黄色のハイグレの胸に手を当てて、歳相応の笑顔で言う。「同じ」。みっくんの口から言われたその単語で私の脈が一層早まった。
 私もみっくんも同じ、ハイグレ一枚の姿。私はみっくんに撃たれて同じになった。私の心がどうだろうとも、みっくんの言葉を否定は出来ない。
「そう……だね」
「えへへっ。じゃあさ、お姉ちゃん。―― 一緒にハイグレ、しようよ!」
 言われ、みっくんのV字と私のV字を交互に見る。ガニ股になりながらそこを両手でなぞるあの動作、ハイグレポーズ。それをしたら、今度こそ本当に私はハイグレ人間になっちゃう。あの恐ろしい、ハイグレ人間に。
「嫌よ……っ」
 首を振っての拒否。しかし返されたのは、とんでもない言葉。
「え? ダメだよ。だってお姉ちゃんはもう、ハイグレ人間なんだもん」
 え、とすら口に出せなかった。そんな。私、まだ違うよ。このハイグレ姿は今でも恥ずかしいし、ハイグレポーズなんて絶対無理。
 私の予想外という様子を見て、みっくんはそれこそ予想外と言いたげな顔をした。
「じゃあお姉ちゃん、何でそこに手を置いてるの? お姉ちゃんもハイグレ、したいんでしょ?」
「っ!?」
 指摘され、急いで下を向く。そして初めて気付く。私の両腕はハイグレの足ぐりの先に添えられていて、ついでに両足も少し外向きだったことに。
 これって……これって……!
「お姉ちゃん、ハイグレ人間なの……?」
「うんっ」
 頭に強い衝撃を受けたような気がした。私もう人間じゃなかった。ハイグレ人間だったんだ……。
 でも納得がいかない。まだ私はハイグレもしてないし、心だってハイグレ人間ってことを認めていない。体勢を気を付けのように正して、私の意志を示す。
「お姉ちゃん、顔怖いよ……」
「あ、ご、ごめんっ」
 気合がそこまで入ってしまったようで、表情は少し緩める。でもそれ以上気を抜いたら、またハイグレポーズの準備に入ってしまいそうで。
 それにこんな複雑な気持ちで、ハイグレなんて出来そうにないよ。
「お姉ちゃん、やっぱりハイグレは怖い?」
「……」
 私はみっくんの問いに答えられない。すると、
「なら、僕が見ててあげるよ。お姉ちゃんのハイグレ!」
「どういうこと?」
「いきなり僕と一緒にやるんじゃなくて、一人で練習してみたら? ってこと。大丈夫、ゆっくりやれば怖くないよ!」
 みっくんの提案は、私からハイグレの恐怖を少し取り除いてくれた。そういうことならちょっとだけ、ハイグレしてもいいかも……。
「……うん」
 頷いた途端、身体は磁石に引かれるようにハイグレポーズの準備に入る。ハイグレと皮膚の境目がとてもムズムズしてきて、早くハイグレをしたい、って思えてきた。
 徐々に頭の中までもがハイグレ人間に近づいてきているのを自覚した。でも、もう止まれない。
「じゃあ、ちゃんと見ててね。みっくん」
 私はみっくんが見守る中、意を決して身体に力を込めた。
「ハイ、グレ……!」
 ゆっくりと腕をV字に振り上げて、股間を強調するポーズ。みっくんがしていたのよりも大分控えめな動きだったけど、それでも今までの人生でこんな恥ずかしいポーズ、したことなかった。
 初めてのハイグレをしてから数秒後、どこからか溢れ出した暖かい感覚が全身を満たしていく。これがみっくんの言ってた、ハイグレの気持ちよさなのかな。
 その快い感覚に浸りかけたところで、無常にも熱が急速に冷めていく。そしてさっきまでよりも寒くなる。寂しくなる。切なくなる。
 ……寒い……もっと、暖かくなりたい……!
 ならどうすればいいか、答えは分かっていた。再び腕を股のあたりに戻して、
「ハイグレ……っ!」
 引き上げる。身体に火がつく。冷えていく。
「ハイグレっ!」
 ポーズ。暖かくなる。寒くなる。
 そう、ハイグレは一度だけじゃダメなんだ。ハイグレの気持ちよさを感じているためには……!
「ハイグレっ! ハイグレっ! ハイグレっ!」
 連続でハイグレをするしかない。恥ずかしさなんて頭の中から締め出して、ただただハイグレの熱だけで私の身体をいっぱいにするんだ。
 ハイグレしたい。ハイグレしてたい。ずっとずっと、ハイグレを繰り返していたい。
「ハイグレっ! ハイグレっ! ハイグレっ!」
 そうして私はハイグレの欲に溺れた。自分が気持ちよくなるためだったらどんな恥ずかしいことでもできるようになっちゃった。
 みっくんはこんな私を見て、どう思ってるんだろう。ちらりと覗き込んだ瞳からは、何の感情も読み取れなかった。私をハイグレ人間として相応しいかどうか、見極めてるのかな。私のハイグレに見入ってるのかな。それとも気持ち悪いと思ってるのかな。
 どう思われてても構わない。みっくんの視線を奪っている、その事実だけで十分。
 ……あぁ、私、みっくんに見られてる。私のハイグレを、みっくんがじっと見てるよぅ……。
 一度意識してしまうともうダメだった。みっくんの大きな二つの眼が、否応なしに私を昂ぶらせていく。
 ……いいよ。もっと見て。ハイグレしてるお姉ちゃんを、いっぱい見て……っ!
「ハイグレっ! ハイグレっ! ハイグレっ!」
 私、こんなに変態だったんだ。弟にこんな恥ずかしいポーズ見せつけて、興奮しちゃうなんて。
 そんな自分を心底見下しつつ、だけどその失望すらも私を焦がす燃料に変わっていく。
 一心不乱にハイグレポーズを取り続ける私は間違いなく――ハイグレ人間だ。
「ハイグレっ! ハイグレっ! ハイグレっ! ハイグレぇっ!」
「――終わりにして、お姉ちゃん!」
「ハイグっ……え……?」
 みっくんの突然の制止を受けて、私は半回分多くしてしまったものの、ハイグレをやめた。みっくんが言うから従ったけど、どうして止めちゃったの? もっとハイグレ、していたかったのに。
 フルに溜まったハイグレの熱は簡単には冷えそうにない。火照って頭がクラクラしているのを感じつつ、私はみっくんに訊ねた。
「みっくん、何でハイグレ止めちゃうの?」
 欲求不満のせいで、少し乱暴な言い方になってしまったかもしれない。言い切ってから反省していると、みっくんが笑って答える。
「だってもうお姉ちゃんも分かったよね? お姉ちゃんもハイグレ人間だって」
「うん。それに、ハイグレの気持ちよさも」
 つい数分前まで私はそれを頑なに拒んでいたのに、今やそう素直に口に出すことに躊躇わなくなっていた。ハイグレの良さを味わって、自ら進んでしていた私がハイグレ人間であることを疑う余地はないし、それはみっくんも皆も同じで恥ずかしいことなんかじゃない。むしろハイグレを着ずにハイグレを知らない人間たちこそ恥ずべき、可哀想な存在ではないだろうかとさえ思えた。
 ……そっか、みっくんはこのことを私に伝えようとしてくれたんだ。人間だった頃の私はハイグレ人間のみっくんから見たら、ハイグレを知らない可哀想なお姉ちゃんだったんだ。
 だったら、お礼を言わなくちゃ。私は思い立つと三和土から一段上がり、みっくんと同じ高さの床を歩いて近づき頭を撫でた。
「ありがとう、みっくん」
「ハ、ハイグレ人間なら当然のことだよ」
 ちょっと照れたように顔を逸らすみっくん。……可愛い。
「でも、本当にありがとう。お姉ちゃんがハイグレ人間になれたの、みっくんのお陰だもん」
「……ん」
 今度は返事も出来ないらしい。黄色のハイグレ姿でまんざらでもなさそうに俯くみっくんが弟でよかったと、私は密かに思った。
 そこで改めて思う。みっくんが私のハイグレを留めた理由は――今のみっくんのはにかみの中には、少し拗ねた表情が見え隠れしている。それは私と同じ、我慢をさせられて欲求不満な表情。したいことがある。掛けて欲しい言葉を待っている――私が一人でハイグレしているのが、羨ましくなったからじゃないかって。
 ならお姉ちゃんとしてすることは一つ。ようやく、みっくんの誘いに頷く決心をしたのだった。
「みっくん、一緒にハイグレ……してくれる?」
 するとみっくんは目を見開いて、それから心の底からの笑顔で、
「うんっ!」
 と返事をしてくれた。
 さっきは折角の誘いに乗ってあげられなかった。だからこれが、私にできる最大のお詫びとお礼。
 私とみっくんは向い合い、体勢を作った。視線が合ったときに私はもう一言、頼み事をした。
「ねぇ、みっくん」
「何?」
「お願い、なんだけど。……これからもお姉ちゃんのハイグレ、見てくれる?」
 あの高まりを与えてくれたのは、みっくんだ。みっくんが見ていてくれたからこそ、私はハイグレを好きになれた。だから。
 みっくんは一瞬驚くも、すぐに頷いてくれた。そして上目遣いで、
「いいよ。けど代わりにお姉ちゃんも僕のこと、ちゃんと見ててね?」
「――当然じゃない!」
 断るはずもなかった。みっくんと一緒にハイグレできて、互いに見つめ合える。それ以上の幸せなんてない。
 私たちは同時に腰を落とし、手を水着の線に合わせた。ハイグレの感触が改めて身体中に走る。
 私はみっくんを。みっくんは私を。それぞれ穴が空くほど見つめながら、息を揃えた。
「ハイグレっ! ハイグレっ! ハイグレっ!」
「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」
 私の目の前ではみっくんが、小さな身体と子供っぽい声でハイグレをし続けている。上気した頬が、みっくんが気持ちよくなっていることを正直に表している。私のハイグレでそうなってくれたのなら、とっても嬉しいな。私はより一層、ハイグレポーズに力を込めた。
 二人一緒に鏡合わせに繰り返すハイグレポーズよりも素晴らしいものは、この世には存在しない。ハイグレの気持ちよさを知った今なら私は、確信を持って言える。
 このままいつまでもハイグレしていよう。姉弟で声を家中に響かせながら、私は心の中で思うのだった。きっとみっくんも、そう思ってくれているよね?

   *完*




 今週の絵師様祭りには全とっしーが驚愕&歓喜したことでしょう。もちろん自分もです。そんな中「SSも流れに続いてくれたら」「書き溜めてないと厳しい」というレス(No.20309548,20309553:実質のインスパイア元はこっちかも?)を見て思いました
 ――書き溜めがないなら今から書けばいいじゃない――
 無理だと思われて諦められていることを良い意味で裏切れたら、みんなハッピーじゃないですか
 そういうことで短編を、たまには小説王国の方に投稿しようと思い立ったのでした
 題材は、これまたスレに出ていた「おねショタ」を使うことにしました

 自分が過去に書いたおねショタ作品には主に、『変わりゆく若人たち』勇気パートハイグレ人間に憧れた少年がありますが、「おねショタ」の定義については自分はまだまだ無勉強です。ということで本作を書くにあたって某嘘八百科を読んだのですが……あんなにパターンがあったなんてと目からウロコでした。特におね側
 ショタより年上の女性ならばOKという懐の広い定義は、おね側に付けられる役職(キャラクター性)の幅広さをも現します。要するに、年下女性のパターンよりも女性に付けられる役職候補が多く色々な物語作れる、ということです
 なんかいいこと知ったって気分です。惜しむらくは自分がおねショタ属性の真髄を理解しきれていないことであり、故にそんな自分が書くのはガチの人に少々申し訳ないというか何と言うか
 で、その嘘八百によるとショタ側からおね側を攻める場合を「ショタおね」と言うこともあるらしく、そういうわけでタイトルには『ショタおね』を用いました
 年下に年上がリードを握られるシチュには、やはり背徳感があっていいですね。そうして年上がだらしなく屈服していくさまは得も言われぬドキドキがあります。そのくらいは属性が無くても理解に易いです
 今回の短編ではこの二つを必ず描こうという目標を立てました。結果がこんな感じでしたが、いかがでしょうか? ……やるならもっと徹底的に、とも思いましたが、一日で書ける文章量の問題もありましたので……
 この一作でおねショタジャンルを流行らせるのはきっと難しいでしょう。しかし本気で流行らせるには、ジャンル作品を増やして地道に諸氏に啓蒙していく方法しかないのだと思いますよ

 文章量と言えば、本作はギリギリ一万字には届かないで済みましたが、当初は四千(正確には小説王国1レス分)の予定でいたのです。それが書いているうちに色々膨らんで、最終的に2.5倍。いつものお馴染みパターンです本当にありがとうございました
 ほんと、規定字以内に収める技術が欲しいよう……
 一応投稿したスレッドは誰でも短編投稿OKのスタンスではありますが、過疎ってるとはいえ自分だけで3レス占領は気が引けたので、友梨佳が家に帰るまでのシーンとその他端々をカットして何とか2レスに収めました。でも折角書いたのにと思いまして、こうしてブログでの公開とさせていただきました

 スレッド投稿分ではカットしたハイグレ電車シチュですが、だいぶ前から書いてみたいと思っていたシチュでした。学生や社会人が普通に電車に乗り込んで、中でやられて出てくる時にはハイグレってのを妄想すると滾るんですよ。まあ今回は脱出部以外は地の文だけでしか書けませんでしたけれど、いつかちゃんと書いてみたいものです
 ……分かってます。その前に書きかけの長編を終わらせなきゃいけないことくらいは……
 一応あれらのうち2作品は進める目処がつきそうなので、次に(長編を)更新するときはそのどちらかになります。去年行ったアンケート結果、『~少年の姉』以外ほぼ放置だったので、いい加減生かさないとと考えてはいます

 ではでは、そんな感じでー

 あ、ついでなので同じく短篇集スレッド内に投稿したものの忘れ去られてそうな『スパイ風シチュ』(No.2)の方も、よろしくです


 ……ワンドロかぁ。小説にもお題を短時間で書く「即興小説」っちゅうトレーニング法があるので、書けそうなお題なら挑戦してみようかしら
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プロフィール

香取犬

Author:香取犬
ハイグレの洗脳を受けて早幾年
遂に自らハイグレ小説を書くようになってしまいました
いつでもネタ募集中です
酉◆RYenwqtp9Y

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新興宗教ハイグレ教
 →ハイグレアイドル候補生!
ハイグレ小説王国
 →変わりゆく若人たち
 →帝後学園の春


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